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インタビュー どのように進路を決めるべきか

岩手医科大学医学部長 佐藤洋一先生
進路の決め方
岩手医科大学医学部長 佐藤洋一先生

Q1.先生ご自身が医師を目指されたきっかけなどについて教えて頂けますか。

岩手県立盛岡第一高校から岩手医科大学へと進学しました。高校生の時は、医師の他に、化学者、農学者などにもなりたいと思っていましたので、受験では医学部、理学部、農学部の三つを受験しました。受験の前から医療過疎地の現状を改善したいという強い思いがありましたので、考えた結果、医学部へと進学しました。当時は塾に通う習慣のない時代でしたので、高校の授業を中心に勉強していました。受験勉強は医学部志望だったこともあり、大変でしたが、基本問題のミスをなるべく減らすことを心がけていました。医学部へと進路を決める時は、特に誰と相談したということもなく、自分で進路を決定しました。両親から特に反対されたということもありませんでした。
大学進学後は医学の新しい知識を吸収する楽しさに魅了され、高校時代よりかなり真面目に勉学しました。大学時代は一日5~6時間机に向かうことも全く苦しいとは思いませんでした。

岩手医科大学医学部

Q2.大学卒業後のご苦労などありましたらお聞かせください。

岩手医科大学を卒業後、基礎医学の研究のため旭川医科大学へと進学しました。学位を取得した後、ドイツで研究しようと思い、留学のための試験を受けました。ドイツ語の能力は問わないという条件の試験を受験したはずなのですが、試験はドイツ語で、ドイツ語が全くできずに受験に失敗しました。その後、一念発起してドイツ語を勉強し、翌年この試験に合格しました。留学当初はドイツの語学学校へと入学しドイツ語をさらに勉強したのですが、試験が毎週のようにある学校でしたので、毎晩深夜まで勉強していました。
ヨーロッパの大学は日本よりも厳しく、例えば、大学を卒業できなければその後の人生どうなるか分からないような、難民出身の留学生に対しても、成績が悪ければ容赦なく不可にして退学させていました。一生懸命研究しても成果が出なければ評価されない過酷な環境でしたが、苦労よりも新しいことを知ることが出来る楽しさの方が大きかったです。今の学生にも学習に対して能動的な姿勢を持ってほしいと思います。
帰国後は岡崎の生理学研究所の兼任を経て、岩手医科大学に教授として赴任し、現在も当大学で研究、教育活動を行っています。

岩手医科大学医学部

Q3.岩手医科大学の良さについて教えて頂けますか。

私学であるということで丁寧な教育を実践していることは大きな利点の一つだと思います。また、120年間の歴史の中で岩手を初めとする北東北三県の医療の一翼を担って来ました。特に岩手県には医学部が岩手医科大学しかないこともあり、地域医療について、しっかり学ぶことが出来ます。
医・歯・薬・看の四学部が同一キャンパスにそろっていることで、多職種連携教育が実践できるようになったことも大きな強みです。さらに、この四つの学部の学生が同じキャンパスで学び、活動することによって就職した後円滑にコミュニケーションをとることが可能になると思います。それによって医療ミスが防げるといった効果もあると思います。
大学が岩手県にあることもメリットの一つです。新幹線を使えば東京までも遠くはありませんし、盛岡の街はさほど大きくないので歩いて町全体を見て回ることが出来、地域に根付いた医師の養成が可能です。
さらに、当大学は現役生も多浪生も分け隔てなく集まっていますから、多種多様な人々が集まる環境で勉強することが出来ます。さまざまな人が共生している社会に出た後の適応力を養うことのできる環境です。

岩手医科大学医学部

Q4.岩手医科大学の教育への取り組みについてお聞かせください。

自主的に知識を身につけられる学生になってほしいと考えています。一般的な病気を正しく診断できる医師を養成するために、様々な取り組みをしています。現在の学生は以前の学生に比べて気質が変化しており、これを見誤ってしまうとうまくいきません。今の学生は不況の中で生まれ育った世代ですから、「努力すれば結果が得られる」という経験をしていませんし、社会もそういう雰囲気ではありませんでした。したがって自分から能動的に知識を求め、考える学生が少なくなったように思います。そこで、一年生に向けての教養学習を充実させ、初年次におけるゼミ活動を行ったり、基本的な症例を集めた症例集を基にして、解剖学や病理学を学ぶ理由を理解させたりするなど様々な対策を取っています。
近年、医学部では臨床実習時間の充実が図られていますが、当大学としても臨床実習時間を増した結果、座学の時間が減少してしまいました。カリキュラムを見直して対応しましたが、一つ一つじっくりと理解しながら学習を進めていく学生へのフォローがこれからの課題であると考えています。授業時間を増やすことも検討しましたが、学生の疲弊を招く恐れもあり、予習・復習を奨励することで対応しています。
また、地域医療を学ぶ取り組みも盛んに行っています。一年生は介護施設、病院だけでなく、医師会や行政機関を訪問し、地域の問題を見つける活動に取り組んでいます。二年生、三年生は救急車の同乗訓練と地域医療実習、五、六年生は本格的な地域医療の臨床実習を行うなど、東北地方の地域医療について詳しく学ぶ機会を多く設けています。
医師国家試験への対応ですが、最近は、受験の時に暗記で勉強していた学生が多く、情報を整理する力が足りない学生が年々増えています。教員が自らの体験を元につくった教材をそのまま使用するのではなく、今の学生にあった教育を行わなければならないと思っています。岩手医科大学は120年の歴史の中で97%の学生が卒業しており、卒業した学生の99.8%が医師として活動しています。もし、留年することがあっても、しっかりフォローして責任をもって医師を育てる伝統は今も昔も変わりません。

岩手医科大学医学部

Q5.医学部を目指す学生に一言メッセージをお願い致します。

岩手医科大学は、東北地方の地域医療を担う人材育成を念頭に置いて教育活動を行っています。将来、皆さんが医師になった時に出会うであろう患者さんのために、知識・技量・倫理観を高める意識のある人、岩手医科大学で学ぶことを誇りに思える人に入学してきてほしいと願っています。受験勉強を頑張ってください。

さとうよういち
佐藤洋一先生 略歴

略歴
昭和53年3月 岩手医科大学医学部卒業
昭和53年3月 岩手医科大学医学部解剖学第二講座助手
昭和56年5月 旭川医科大学解剖学第一講座助手
昭和61年1月 同 助教授
平成7年 8月 岩手医科大学医学部解剖学第二講座教授
平成24年 4月 同 解剖学講座代表教授
平成25年10月 同 医学教育学講座教授
平成27年 4月 同 医学部副学部長
平成28年 4月 同 医学部長(現在に至る)