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インタビュー どのように進路を決めるべきか

東京女子医科大学医学部長 新田孝作先生
進路の決め方
東京女子医科大学医学部長 新田孝作先生

Q1.東京女子医科大学の特徴について教えてください。

東京女子医科大学は1900年に吉岡彌生学頭によって創設された東京女医学校を前身とする大学です。女子大学としての医科大学は世界的にも珍しく、「至誠と愛」を基本精神として多くの女性医師を輩出してきました。
本学の特徴は何と言っても100年以上の歴史を誇る女子教育だと思います。入試の段階から、面接試験の試験官を女性医師に担当していただき、選考基準に女性の視点を導入しています。入学後も、女子学生はクラブ活動や友人関係、家庭環境などがうまくいっていないと学業成績に大きな影響を及ぼすことがありますから、学年ごとに気軽に相談できる女性の医師を置いています。
学習に関しては、医師は頭が良く、勉強ができるだけでは成り立たないと考えています。医師として、患者やその家族と円滑なコミュニケーションをとったり、誠実さを持って医療行為にあたったりすることの方が、テストの点数が良いことよりもはるかに重要です。頭脳よりも人間力が試される職業であろうと思います。また、生涯学習を行うことが医師にとっては大切です。大学6年間の成績よりも、基礎をしっかり身につけた上で医師になった後も勉強を怠らず、チーム医療を正しく機能させることが肝心です。生涯学習の実践と患者への愛が医師としての両輪ですから、本学では人間学習、特に人間関係を育む学習を重視しています。

Q2.教育カリキュラムの特徴についてお聞かせください。

本学のカリキュラムは特殊で、大学卒業後に医師として活躍できることを第一に考え、なるべくチーム医療を意識できるものになっています。基礎学習においては、系統学習の後に縦断学習も行うことで学生の理解を深めています。また、座学だけでなく、実際の症例を見ながら考えたり患者に触れながら学習したりすることで、実践的な知識の習得も目標にしています。
学生は本学のリソース・パーソン制度によって、専門医の先生に質問をするために、アポイントメントを直接とることができます。講義でわからないところがあれば先生に直に質問することができますし、興味のある分野に関して発展的な質問をすることもできるようになっています。
また、グループ学習やテュータとの学習も取り入れています。自主的に予習をしてからグループディスカッションに臨むグループ学習を効果的に行うことで、学生のモチベーションを維持することを期待しています。また、グループ学習を行うことでチーム医療への意識も醸成しています。
チーム医療は、現代医療において非常に重要な概念であり、医師同士のみならず看護師や薬剤師、理学療法士などのパラメディカルと呼ばれる人々とコミュニケーションをスムーズにとることができる能力は医師にとって不可欠なものです。本学の学生には、卒業後すぐにチーム医療の一員として活躍できるような教育を行っています。今後もさらにこのカリキュラムをブラッシュアップしていきたいと考えています。
医師国家試験への対応としては、本学の学生の試験結果を分析し、画像診断に関する問題への苦手意識を克服するため、実際の医療現場での学習や、eラーニングを取り入れるなど、指導方法の改善を図りました。このような対策を講じた結果、平均点が向上しました。引き続き、難化傾向にある国家試験の対策を行っていきます。

東京女子医科大学医学部

Q3.先生ご自身のことについてお聞かせください。

私は福島県の会津地方出身です。高校は福島県立喜多方高校に通っていました。幼い頃、野口英世に憧れたことが医師を志したきっかけです。小学生の頃から遠足で猪苗代湖の近くにある野口英世の生家を訪れたり、偉人伝を読んだりするうちに影響を受けていました。生家を訪れた際に彼の生き様に触れ、こんな田舎から大学者になった野口英世は凄いと感心すると同時に、自分も医師になりたいと思うようになりました。
私の親戚に医師をしている人はおらず、また、当時の会津には予備校などもありませんでしたので、仙台の予備校まで通って勉強しました。会津の優秀な高校生は東北大学へ進学するのが一般的でしたが、東北大学の医学部はとても難関でしたし、私立の医学部に進学するお金もありませんでしたので、福島県立医科大学に進学しました。現在、福島県立医科大学は山の上にキャンパスがありますが、私が学生をしていた頃はまだ福島県庁のそばに校舎がありました。学生時代は全共闘が盛んな時代で、大学には他の大学の学生が来て運動しているのを目にしましたが、私たちは医学の勉強に忙しく、全共闘には全く興味はありませんでした。
学生時代はお金もなく、少ない資源を最大限活用しなければなりませんでしたので、苦労もしましたが、今考えればとても良い経験だったと思います。

東京女子医科大学医学部

Q4.医学部を目指す受験生にメッセージをお願いいたします。

東京女子医科大学は女子教育に特徴のある医系大学です。将来、医師として役に立ちたいと考えている女子学生の皆さんの入学を歓迎します。自分の意思で医師になりたいという思いをしっかり持って、入学してきてほしいと思っています。

にったこうさく
新田孝作先生 略歴

学歴
昭和50年4月 福島県立医科大学入学
昭和56年3月 同大学卒業 (医師免許:第270322号)

職歴
昭和57年5月 東京女子医科大学腎臓総合医療センター入局
平成元年6月 米国ケースウエスターンリザーブ大学腎内科リサーチフェロー
平成3年4月 東京女子医科大学第四内科助手
平成11年5月 東京女子医科大学第四内科講師
平成16年11月 東京女子医科大学第四内科助教授
平成17年4月 東京女子医科大学第四内科主任教授

教育歴
平成11年~ ブロック2前期テューター
平成14年~ ブロック2テュートリアル課題作成委員
平成14年~ OSCE評価委員
平成17年~ テュートリアル委員会委員
平成19年~ 大学院委員会委員
平成22年~ 教務委員会委員
平成24年~ 教務委員会委員長

資格・学位
昭和58 (1983)年 7月 医師免許(昭和58年5月医師国家試験合格)
昭和63 (1988)年 7月 慶應義塾大学より医学博士

研究歴
昭和60年5月 心房性ナトリウム利尿ペプチドに関する研究
平成元年6月 培養糸球体内皮細胞の増殖制御に関する研究(米国)
平成3年5月 G蛋白を介するシグナル伝達に関する研究
平成10年4月 補助シグナル制御に関する腎炎に対する治療に関する研究
平成12年6月 透析療法に伴う血管石灰化の病態と治療に関する研究
平成14年5月 腎移植に伴う液性拒絶反応と血管内皮キメリズムに関する研究
平成16年4月 慢性腎臓病の進行抑制に関する臨床的研究
平成20年4月 透析患者の心血管疾患の病態に関する研究
平成22年5月 慢性腎臓病に伴うESA抵抗性に関する研究

資格
昭和57年12月 日本内科学会認定医
昭和62年12月 日本内科学会専門医
平成元年5月 東京女子医科大学医学博士
平成4年4月 日本透析医学会認定医
平成5年4月 日本腎臓学会専門医
平成10年4月 事本腎臓学会指導医
平成10年6月 日本透析医学会指導医

所属学会・職位
日本透析医学会 理事長
日本腎臓学会 理事
日本内科学会 評議員
米国腎臓学会 正会員
国際腎臓学会 正会員
欧州腎臓学会 正会員
日本循環器学会 会員
日本移植学会 会員
日本糖尿病学会 会員
日本高血圧学会 会員

社会貢献
腎臓病早期発見機構(IKEAJ)において、慢性腎臓病(CKD)に関する啓蒙活動をしています。世界腎臓デーに合わせて、ウォーキング指導を通じてCKD患者さんに健康維持の方法を伝授しています。CKDに関する書籍を発行し、講演会を開催しています。厚生労働省と協力して、CKDの早期発見プログラム(KEEP)を開催し、無料の健診を行っています。

「至誠と愛」を実現する女性医師の育成
東京女子医科大学 医学部長/腎臓内科 教授 新田孝作

本学の教育理念は「自らの能力を磨き、医学の知識・技能を修得して自立し「至誠と愛」を実践する女性医師を育成すること」です。本学医学部は1990年に全国に先駆けて新しい教育を取り入れました。その骨子は「テュートリアル教育」、「統合カリキュラム」、「人間関係教育」です。目標は、将来医師として活躍するあらゆる分野で必要な基本的知識、技能及び態度を身に体し、生涯にわたって学習しうる基礎的能力を獲得するところにあります。この目標を達成するため、学生自身が問題意識を持つと同時に、自らの力で知識と技能を発展させてゆく「自学自習」・「自己開発」を基本姿勢とし、少人数グループで学生自身が問題発見解決を行うテュートリアル教育を行っています。人間関係教育では、医師としての使命感・倫理観・態度・コミュニケーション力を養う医の技を学びます。統合カリキュラムは、患者の抱える問題を臓器・器官ごとに基礎から臨床までを統合的に考えるために構築されたカリキュラムで、これらは2011年にMDプログラム2011に引き継がれました。新カリキュラムでは医学生が6年間の課程修了時に達成すべき、医療者としての知識・技能・態度が示され、医師としての実践力を修得するための33の目標(アウトカム)が定められています。学年をまたいで学習する縦断教育では、医師としての人間性、態度、倫理観、コミュニケーション力を高める教育、専門的技能を高めることができます。臨床教育の場では、最先端の高度専門医療、地域医療、海外研修、さらに代替医療・女性医療など広い領域にわたる教育機会を提供しています。優れた教員群、そして整った教育環境で、建学の精神に沿い、女性として自立する医師を育成しています。