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久留米大学副学長・医学部長 内村直尚先生

久留米大学副学長・医学部長 内村直尚先生
進路の決め方

Q1.久留米大学医学部についてお聞かせ下さい。

久留米大学は総合大学として長い歴史を持ち、特に医学部は昭和三年に開学した伝統ある学部です。近年は施設の充実化に力を入れており、研究棟や動物実験センター、放射線治療センターなどを平成30年末のオープンを目標に建設しています。カリキュラムに関しても、平成27年度新入生から専門医国際認証を意識した新しいカリキュラムをスタートさせました。新カリキュラムでは臨床実習を従来の56週から72週に増やした影響で、四年生から実習活動を開始することになります。更に一年次から老健施設や福祉施設、リハビリテーション施設の研修を行い、医療人としての自覚を促すことを目指しています。
学生へのサポートも充実しており、国家試験対策のためのチューター制度、下位成績者に対してのコーチングなどのフォローの他、規則正しい生活を支援するための100円朝食など、様々な支援を行っています。また、同窓会の結束も強く、それによって奨学金制度も充実しています。最近では医師の子弟のみならず、一般家庭出身の方も医師を目指して多数入学しているのが現状です。経済的な負担が重荷とならないような支援や、福岡県特別枠における奨学金など、様々な制度を設けています。
本学の特徴として、他の医学部よりも社会人、医学部以外の学部に在籍している大学生の入学者が多いことが挙げられます。年齢や職業を不問とし、公平に採用していることが分かると思います。何の苦労もなく医学部へ入学してきた学生よりも、悩みや葛藤を乗り越えた学生の方が、将来医師として活動する際に、患者に寄り添った医療を実践できるのではないでしょうか。このような考えから、様々な背景をもった多様な学生をこれからも採用していきたいと考えています。

久留米大学

Q2.学生をご指導なさることも多いと思いますが、ご苦労などありましたらお聞かせ下さい。

学生時代は誰しもが問題の答えのみが重要と考え、過程を深く考えることは敬遠しがちです。しかし、実際の医療現場では答えは存在せず、答えに至るまでの過程が重要であり、時には回り道も必要です。様々な問題に対して柔軟に取り組み対応することが医師として重要なのではないでしょうか。学生には是非、問題を解き、覚えるだけではなく、答えに至る努力を大切にしてほしいと考えています。
最近では、外来の患者さんを診察する際に電子カルテを書き込むことに熱心で、全く患者の顔を見ずに診察する医師がいることが問題になっています。今後AIが導入され、医療が機械化されていくことになれば、このような問題はますます大きくなることが予想されます。機械やロボットの力によって便利になればなるほど医師の役割は患者との適切なコミュニケーションをとるということになるのではないでしょうか。どれだけ優秀であっても、患者や同僚である医療人と円滑なコミュニケーションをとることが出来なければ、医師として仕事をすることはできません。物事の思考過程をじっくり考えること、他人を思いやることなどの人間教育を今まで以上に行う必要があると考えています。
医学部に入学してくる学生は医師の子弟が多く、我慢や辛抱、挫折を知らない学生も多いのが現状です。中には今まで一度も怒られたことがないという学生もおり、彼らを教育する際に難しさを感じることもあります。しかし、外科医など一部の医師は、医師であると同様に高い技術を身につけた職人にならなければなりません。プロフェッショナルとして活躍するためには厳しい修業は避けては通れないと思います。厳しい言葉を投げかけることもありますが、決して学生が憎いからではなく、一人前の医師になってほしいという強い思いの現れです。学生にはなかなか理解してもらえず、苦労していますが、これからも一生懸命指導したいと思っています。

久留米大学

Q3.先生ご自身のことについてお聞かせ下さい。

私は福岡県の出身で実家は1800年続く神社です。私も神主免許を持っています。神社は私の94歳になる父が49代目の神主として現役ですので、私は禰宜として神社を手伝っています。私が子供の頃、父は県庁の職員をしていましたので私は祖父にかわいがられて育ちました。祖父は私が物心つく前から足が不自由で、ずっと寝たきりの生活をしていました。中学、高校と公立の学校に進学し、進路を決める際には神社を継ぐことも考えましたが、親戚が医師をしており医師という職業に興味があったこと、何より祖父の勧めがあったこともあって、久留米大学の医学部へ進学しました。医学部を卒業し、どの科に入ろうかと考えたときに人の身体だけでなく心をみることができる、精神科に進みました。当時は今のように精神疾患について人々の理解のない時代でしたので、精神科は日陰の診療科で、慢性的な統合失調症の患者さんくらいしか患者はおらず、外来はあまり忙しくありませんでしたが、障害を持ちながらも生き生きと暮らす人々の力になりたいと思い、大学院へ進学することに決めました。教授から統合失調症の原因を探るために脳内のドーパミンについて研究したらどうかとアドバイスを受け、大学院の生理学教室に所属して動物を使った基礎研究を行いました。生理学教室の教授はアメリカで教授として活躍され帰国された人でしたので、最先端の研究を行うことが出来ました。基礎研究は朝早くから夜遅くまで続く過酷な物でしたが、最先端分野に触れることが出来てとても充実した日々でした。その後、生理学の研究を進めるため、アメリカへと留学しました。帰国後は人を対象とした睡眠研究を行っています。
大学院時代の指導教官からたとえ能力や才能が及ばなくとも、努力を継続することが研究者あるいは医療人として大切なことだとの教えを受け、人一倍努力する姿勢を持つようになりました。それから今でも、朝は7時前に来て、夜は12時近くまで仕事をする日々を送っています。自分に至らないところがあっても、手間と時間をかけることで補うことが出来ると思います。人間、立場が上がれば上がるほど自分の仕事はごまかすことが出来るものですが、だれに見られても恥ずかしくないように努力を怠らず、日々臨床・研究・教育に打ち込んでいます。口で言っても伝わらないようなことも、行動で示せば100人に1人くらいはついて来てくれれば良いと思っています。
今後は、自分が素晴らしい先生方と出会い教わったことや久留米大学医学部の素晴らしい伝統を、学生たちに受け継いでいきたいと思っています。

久留米大学

Q4.医学部を目指す受験生にメッセージをお願い致します。

私は今、睡眠の研究や臨床を行っています。日本人は戦後、戦前に比べて睡眠時間が約一時間短くなったと言われていて、世界的に見ても、日本と韓国は睡眠時間が他の国と比べて短いことが分かっています。日本人は睡眠時間を削ることで経済成長を続けてきましたが、現代になってそのツケを払わされる形となっています。現代人の多くが悩まされる生活習慣病やアルツハイマー、心筋梗塞やうつ病も睡眠不足が大きな誘因だと考えられています。残業を月に100時間以上してはいけない理由も、一日の睡眠が平均5時間を下回ってしまうからなのです。日本人は睡眠というものを軽視する傾向にありますが、これは平均寿命に対して健康寿命が短いという点に如実に表れていると思います。昔は4当5落などと言い、睡眠時間を削って勉強することが求められていましたが、今は6当5落と言われています。睡眠時間をしっかり確保できる受験生が志望校に合格するのです。テクノロジーが発達し、インターネットやスマートフォンが普及したことで、人々は規則正しい生活を送りにくくなっています。意識して生活のリズムを整え試験時間の三時間前には起床する習慣をつけることで、本番で力を発揮することが出来ます。皆さんの健闘を祈ります。

関連リンク 久留米大学ホームページ

うちむらなおひさ
内村直尚先生 略歴

現職
久留米大学 副学長・医学部長
久留米大学医学部神経精神医学講座 教授
学校法人久留米大学 理事・評議員
久留米大学高次脳疾患研究所 所長

略歴
1982年 3月 久留米大学医学部 卒業
1986年 3月 久留米大学大学院医学研究科生理系専攻博士課程 修了
1986年 4月 久留米大学医学部神経精神医学講座 助手/生理学第一講座 兼務
1987年5月31日~1989年4月30日 米国オレゴン州 Oregon Health Science University へ留学
1990年 4月 久留米大学医学部脳疾患研究所 助手/神経精神医学講座 兼務
1992年 9月 久留米大学医学部神経精神医学講座 講師
2000年 4月 久留米大学医学部神経精神医学講座 助教授
2007年 4月 久留米大学医学部神経精神医学講座 教授
2011年 4月 久留米大学病院 副病院長(~2013.3.31)
2012年 4月 久留米大学高次脳疾患研究所 所長
2013年 4月 久留米大学 医学部長
2013年 4月 学校法人久留米大学 理事・評議員
2016年 10月 久留米大学 副学長

学外役職
日本睡眠学会 理事(2007.11~)
日本臨床精神神経薬理学会 理事(2012.10~)
九州精神神経学会 理事(2007.11~)
日本精神神経学会 代議員(2013.4~)
日本アルコール・アディクション医学会評議員(2015.10~)
日本時間生物学会 評議員(2007.1~)
日本精神科診断学会 評議員(2006.11~)
日本不安症学会 評議員(2009.3~)
日本精神保健・予防学会 評議員(2009.7~)
日本老年精神医学会 評議員(2016.6~)
独立行政法人日本学術振興会科学研究費委員会委員(2011.12~)

主な著書 分担執筆
「眠らない、眠れない」法研 東京 1999/「現代病としての睡眠障害」日本評論社 東京 2000
「すべての診療科で役立つ・精神科必修ハンドブック」羊土社 東京 2005
「昼寝(午睡)のススメ―15分間の午睡で頭も体もリフレッシュ―」 九州大学出版会 福岡 2007
「分子糖尿病学の進歩―糖尿病と睡眠障害―」金原出版 東京 2008
「専門医のための精神科臨床リュミエール」中山書店 東京 2009
「睡眠学」朝倉書店 東京 2009/「夜間頻尿診療ガイドライン」Blackwell Publishing 東京 2009
「睡眠障害」病気と薬パーフェクトBOOK2010 南山堂 東京 2010
「患者さんの生活改善」うつ病の事典 日本評論社 東京 2011
「プライマリ・ケア医のための睡眠障害―スクリーニングと治療・連携―」南山堂 東京 2012
「睡眠障害の対応と治療ガイドライン第2版」じほう 東京 2012
「睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン」じほう 東京 2014 「不眠とストレス」創元社 大阪 2015