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インタビュー どのように進路を決めるべきか

琉球大学医学部医学部長 松下正之先生
進路の決め方
琉球大学医学部医学部長 松下正之先生

Q1.琉球大学医学部の特色についてお聞かせください。

琉球大学医学部は沖縄返還前の昭和40年に佐藤栄作総理大臣が沖縄に訪れ、「琉球大学に医学部を設置する」と声明がなされたことをきっかけに設立されました。わが国で最も新しい国立大学医学部です。昭和43年に保健学部が設置され、昭和47年に沖縄が本土復帰を果たした後、昭和54年に医学部が設置され、昭和56年から学生の受け入れを開始しました。現在、医学部の学生の6割は沖縄県出身の学生です。残りの学生は、関東圏の出身が多数です。沖縄、九州からの学生だけではなく、関東からも多くの学生が入学していることは、大学の発展のために非常に良いことであると考えています。遠方から来ている学生は一人暮らしをしていますが、温暖な気候、温かみのある風土ですので、学習以外の面でも充実した大学生活を送ることができると思います。
琉球大学医学部が設置された当初、沖縄県では医師不足が最も大きな問題の一つでした。従って長い間、琉球大学医学部は沖縄県の地域医療を支える医師の養成を使命としてきました。近年ではこの取り組みが功を奏して、沖縄県における医師の数は、全国の平均と比べても遜色ないものになりました。日本の人口が減少傾向にあること、アジア諸国の経済発展が著しいことを考え、現在は東南アジアや南太平洋地域の医療交流拠点として発展していくことを視野に入れて改革を行なっています。沖縄は、地理的にアジア・太平洋地域に近いこともあり、以前から琉球大学医学部は、アジア・太平洋の大学と交流を行って来ました。台湾やハワイの大学とはすでに交換留学などの交流があるので、これからはシンガポールやフィリピンの大学とも積極的に交流を図っていきたいと考えています。将来的には、20~30人の留学生を常に迎え入れるグローバルな大学を目指しています。

琉球大学

Q2.琉球大学医学部の教育に関する特色についてお聞かせください。

本学の医学部も、他の医学部と同様に国際認証への対応に伴ってカリキュラムを変更しました。臨床実習の時間が長くなった分、一年生の後期から生理学や解剖学などの専門教育を行うことで補っています。座学の時間を効率的に使うために、講義を学問体系別ではなく、臓器や病例ごとに行うように見直しを行いました。講義時間も90分から60分に短縮し、学生の集中力が続くように配慮しました。分野別専門認証への対応にあたって苦労もありましたが、これをきっかけとして、より良い教育体制へと改善を行うことができました。今後はグループでの自主学習やディスカッションを今以上に取り入れ、学生が能動的に学習できる授業を増やしていきたいと考えています。
2年生から3年生に進級する際に最初の試練があり、大量の情報を暗記しなければなりません。勉強の面では国家試験直前の期間も大変であろうと思います。学生には自主学習を促しており、学生の要望に応える形で自主学習のスペースも提供しています。国家試験への対策については、医学教育企画室を通して、成績が下位の学生に対してフォローを行なっています。
更に、近年AIや遺伝子を用いた医療が急速に発達していることを鑑み、医師として正しい倫理観を持って医療行為にあたるために、医療倫理に関する講義を行っています。臨床の現場での経験豊かな教授が、実際の事例を用いて、ディベートを交えた講義を行っています。
地域医療への貢献も引き続き行っていきます。地域枠の推薦入試で入学した学生を中心に、離島での実習活動を行なっています。卒業生の6割程度は沖縄に残って、臨床医として活躍しています。医師としてのキャリアプラン教育も重視しており、研究医、開業医、臨床医のみならず、大学教授、開業医の院長、県立病院の部長など、様々なキャリアプランを提示しています。時にはゲスト講師にも来ていただいて講義を行っています。今後も沖縄県の医師会と協力しながら、地域医療を担う医師の育成を行なっていきたいと考えています。
これからの課題としては、医学部の教授に本学出身者が少ないことが挙げられます。以前から、沖縄の地域医療への貢献を重視するあまり、研究医の育成が十分に行えなかったことは事実です。本学出身の研究医を増やして、学生に様々な将来像を提示していけるよう、努力していきたいと考えています。

琉球大学

Q3.先生ご自身のことについてお聞かせください。

私は高知県生まれです。生まれた村は、江戸時代にジョン万次郎が育った村の近郊です。小学校は、私を含め全校生徒が5人しかおらず、複式学級で勉強しました。中学校三年生の時に香川県の高松市に引っ越した当初は、全く勉強についていけませんでした。利根川進先生などの脳科学の本を読んだことをきっかけに脳科学に興味を持ち、香川大学医学部に進学しました。卒業後は精神科に進みましたが、精神病の患者を診察しているうちに病気の原因を研究したいと思い、アメリカのロックフェラー大学に留学しました。アメリカ留学時代は、研究がとにかく楽しく、全く辛いとは思いませんでした。指導教官から少し休んだほうがいいと言われるほど、研究に没頭していました。

Q4.琉球大学医学部を目指す受験生にメッセージをお願いいたします。

医学部は卒業後の出口が広いことが特徴です。臨床医、研究医以外にも、厚労省、外交官、WHOなど様々な就職先があります。多様性のある学部ですので、入学後はできるだけ多くの選択肢をこちらから提示していきたいと考えています。更に、琉球大学医学部は国際的な環境の中で、グローバルな大学を目指しています。世界、特にアジアで活躍したいと考えている学生には適した大学です。人のために役立つことをしたいといった志を持った学生が入学してくることを期待しています。

まつしたまさゆき
松下正之先生 略歴

学歴
平成3年 香川医科大学医学部卒業
平成3年 香川医科大学大学院医学研究科入学
平成6年 カナダカルガリー大学(文部省大学院交換留学プログラム)
平成7年 香川医科大学大学院医学研究科修了

職歴
平成7年  ロックフェラー大学 研究員
平成10年 岡山大学医学部生理学第一講座 助手
平成15年 岡山大学大学院医歯学総合研究科細胞生理学講座 講師
平成17年 三菱化学生命科学研究所 グループリーダー
平成21年 琉球大学医学部形態機能医科学講座生理学第一分野 教授
平成22年 琉球大学大学院医学研究科 分子・細胞生理学講座 教授
平成25年 琉球大学 医学部長(併任)
      琉球大学 大学院医学研究科長(併任)
平成27年 琉球大学 医学部長(併任)(再任)
      琉球大学 大学院医学研究科長(併任)(再任)

所属学会
日本生理学会(評議員)
日本脳科学会(評議員)
日本病態生理学会(評議員)