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インタビュー どのように進路を決めるべきか

名古屋市立大学医学研究科長・医学部長 浅井清文先生
進路の決め方
名古屋市立大学医学研究科長・医学部長 浅井清文先生

Q1.名古屋市立大学医学部の特徴についてお聞かせ下さい。

名古屋市立大学医学部は昭和18年に、市立では全国初の医学専門学校として設置された名古屋市立女子医学高等専門学校が起源の医学部です。医学部としては比較的長い歴史と伝統を持つ大学ですが、近年ではインターネットを活用した情報公開に力を入れています。大学の広報担当が中心となってホームページなどを使いやすく見直し、多くの人に本学を知ってもらう取り組みを行っています。
医学部の入学者は約8割が東海地区出身の学生です。愛知県には本学以外にも、名古屋大学医学部、愛知医科大学医学部、藤田保健衛生大学医学部など、医学部のある大学が多く、教育課程には、それぞれの大学によって様々な特色があると思いますが、本学は学年制を採用していることが大きな特色になります。学年制では、一つでも単位を落としてしまえば留年になり、基本的にはもう一度初めからその学年をやり直すことになります。この制度は学生にとっては過酷のようにも思われがちですが、通常の学習をしていれば進級でき、確実な力をつけることが出来る制度であると考えています。この制度も含め、本学は教育をしっかり行っているということで、卒業生は研修先から高い評価をいただいているようです。
学生の中には研究に興味のある学生もおり、毎年5~6人の学生が研究者養成コース(MD-PhDコース)を志望します。学年が進むにつれて臨床に進路を変更する学生もいますが、基礎研究を志す学生も1~2人おります。研究に進みたい学生には奨学金制度があり、このプログラムで卒業した学生の中には、大学院を修了し本学で教員になっている研究者もいます。この制度によって一定の成果が出つつあるように思います。近年は研修の後、専門医の資格を取得する学生が多く、大学院に進学する学生は減少傾向にありますが、私自身も小児科医として臨床を行いながら研究も並行して行っていました。基礎研究に進む学生は更に減少していますが、自分の経験も活かしながら、指導していきたいと考えています。
また、本学は女子医専として開学した歴史もあり、女子学生へのサポートにも力を入れています。将来、女性医師としてのキャリアプランを考える際の参考にしてもらおうと、本学卒業生で女性医師として活躍している方を講師としてお招きして講義を行っていただいています。
これからの課題としては国際化が挙げられます。日本の人口が減少を続ける中、学生たちが一人前の医師として活躍するころ、医師の仕事の内容は今とは全く異なるものになるであろうと言われています。アジア・世界で活躍することも視野に入れた教育が必要であるとの認識から、海外との提携大学を増やしています。現在もシドニーやソウル、ニューヨークなどに学生を派遣していますが、今後は提携先の海外の大学により多くの学生を送り込むことが大きな目標です。逆に、大学院においては、多くの留学生に来てもらえるよう、将来的にはすべての単位を英語で取得できるように授業やカリキュラムの整備を行っていきたいと考えています。

名古屋市立大学

Q2.名古屋市立大学医学部の教育について、特色などお聞かせ下さい。

私が学生だった頃は教養の授業を2年間受講したのちに医学専門教育が始まっていましたが、今の学生は教養の授業は1年次のみです。私立大学では1年次から医学専門教育を始める大学もありますが、本学は1年次から本格的な専門教育を行うことはせず、専門教育を学習するにあたっての準備と、医学へのモチベーションを維持するための医療施設への訪問などが中心です。医師になった後のキャリアプランについての講義も1年次に行っています。キャリアプランを考える講義では、本学の理事長、大学病院の病院長をはじめ、女性医師、厚労省で医官として活躍している方などもお招きして講義をしていただいています。
特色ある授業の一つに、文科省の支援をいただいている医・薬・看の三学部が連携したプログラムがあります。これは、各学部から三から四人ずつの九ないし十人からなるグループを作り、AEDや車いすなどの使い方から学び、その後は地域医療を学ぶ実習を行うというプログラムです。学生たちが主体となって考え、活動するこのプログラムを通して、地域医療に貢献できる医療人を育てることを目的としています。
また、分野別専門認証に対応するために、いくつかカリキュラムの変更を行いました。基礎医学の講義時間を少し減らして、4年次の1月から臨床実習を行うことになりました。臨床医学の講義は臓器別に行われており、例えば「呼吸器」の授業では呼吸器内科と呼吸器外科の教員で一つの講義科目を受け持っています。講義時間は90分のままですが、講義中は先生からの説明ばかりではなく、学生同士のディスカッションや演習の時間も取り入れた講義を行うように改善を図っています。分野別専門認証に対応した新しいカリキュラムは今の2年生から採用されています。
先生方は学生の指導に関してとても熱心な方が多く、担任制を採用するなど、学生と教員の距離が近い大学だと思います。規模の小さい大学のため、先生方も学生の顔と名前を覚え易いと思います。学内でもすれ違ったら挨拶をする習慣もあり、温かみのある大学だと思います。また、学生に何かあった場合には教員が素早く対応する体制も整っています。
国家試験への対策としては、こちらから何かを提供することはなく、学生の自主性に任せています。本学では、6年生になると学生が話し合ってグループを作り、自主的に国家試験のための勉強をする伝統があります。大学としては、この活動を支援しており、自習用の部屋を確保するなどの取り組みは行っていますが、予備校が実施している模試を受ける場合の企画、運営などは学生に任せています。しかし、毎年数名は国家試験への対応が遅れがちな学生もおりますので、その場合は状況に合わせて、教員が面談を行ったり、学習をサポートしたりするなどしてフォローをしています。
卒業後の研修に関しては、本学以外の大学を卒業した学生も本学の大学病院で研修医として研修しています。愛知県内の多くの病院とも連携していますし、名古屋市の医師会とも特に臨床の分野で地域包括ケアなどに関しての連携体制を構築しています。これからさらにこの分野の重要性が増してくると考えていますので、連携の充実を図っていきたいと思います。

名古屋市立大学

Q3.先生ご自身のことについてお聞かせ下さい。

私は名古屋市で生まれましたが、伊勢湾台風の影響もあり、物心ついた頃からは愛知県扶桑町で育ち高校は県立旭丘高校でした。旭丘高校に入学するために中学三年生の夏休みに高校受験のために予備校に通ったとき、名古屋には優秀な学生が沢山いることに驚き、それがきっかけで一生懸命勉強するようになりました。高校では吹奏楽部に所属して部活動に打ち込みました。部活が忙しく、あまり勉強の時間は取れませんでしたが、同級生や部活の仲間に優秀な人が多く、大変刺激を受けました。入学当初は物理に興味があり、東大の理科一類を目指していましたが、祖父と叔父が医師だったこともあり、医学にも興味がありました。両親とも相談しましたが、最後は自分の意思で医学部を受験することを決め、名古屋市立大学医学部を受験しました。高校生の頃は学校の授業と自主学習が中心で、模試の時以外は予備校には通いませんでした。
医学部入学後は、研究にも興味がありましたが、両親の臨床もしっかり勉強してほしいという希望もあり、研究をしながら臨床もできる研究室を探した結果、素晴らしい先生と出会い、小児科に進みました。研修医時代は朝8時から夜11時まで研修で、今思えば過酷な毎日でしたが、当時はそれが当たり前でした。その後、大学院を修了し暫くして、アメリカに留学しましたが、アメリカでは研究に専念できる環境が日本よりもはるかに整備されていることに驚きました。
学生を指導するようになってからは、学生であっても上下関係を作らず、一人の大人として学生に接することを心がけています。講義の際はあまり細かいことまでは説明せず、全体としてのコンセプトや考え方を理解してもらえるような講義を心がけています。

Q4.名古屋市立大学医学部を目指す受験生と保護者の方にメッセージをお願い致します。

今まで学生を長い間指導してきましたが学生の質が大きく変わったとは思っていません。むしろ、今の学生の方がまじめなのではないかと思っています。しかし、名古屋地区でも中学受験が盛んになるにつれて、受験というレールにのって成長してきた学生が多くなってきていることは懸案事項として挙げられます。大学に来て、自分がどの方向に努力すればよいのかわからず、迷ってしまう人が増えている印象です。大学側としても学生への支援をより一層強化していきたいと思います。詰め込み中心の学習からうまく転換して、効率をあまり意識せず自分の興味のあることは何でもとことん突き詰めて勉強してほしいと思います。
勉強は入学してから怠けることなく頑張れば、モチベーションがある限りは問題ないと思います。本学の卒業生には人に寄り添うことのできる医師が多く、本学の伝統になっていると思います。素直な気持ちを持った人に入学してきてほしいと思っています。また、自分で自分の責任をとること、自分で考えて行動することはどちらも難しいことですがこの二つは意識して普段の生活を送ってほしいと考えています。
オープンキャンパスなどに参加すると保護者の方々の熱意を感じることもありますが、勉強するのは受験生本人です。保護者の方々には、受験生の自主性を尊重し、アクティブラーニングがうまく行くように支援していただきたいと思います。

あさいきよふみ
浅井清文先生 略歴

略歴
昭和53年3月 愛知県立旭丘高等学校卒業
昭和59年3月 名古屋市立大学医学部卒業
昭和59年5月 名古屋市立大学病院臨床研修医 小児科勤務
昭和59年10月 名古屋市衛生局医師 名古屋市立東市民病院小児科勤務
昭和60年4月 名古屋市立大学大学院医学研究科内科系小児科学専攻(博士課程)入学
平成元年 3月 同上 修了
平成元年 4月 名古屋市立大学医学部助手 分子医学研究所生体制御部門
平成5年 3月 アメリカ合衆国カリフォルニア大学サンフランシスコ校
(Department of Neurology, University of California San Francisco)出張(平成7年3月まで)
平成10年4月 名古屋市立大学医学部助教授 分子医学研究所生体制御部門
平成13年8月 名古屋市立大学医学部教授 分子医学研究所生体制御部門
平成14年4月 名古屋市立大学大学院医学研究科教授 分子神経生物学分野担当(大学院改組による)(現在に至る)
平成16年4月 愛知学院大学歯学部非常勤講師(現在に至る)