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インタビュー どのように進路を決めるべきか

関西医科大学学長 友田幸一先生
進路の決め方
関西医科大学学長 友田幸一先生

Q1.関西医科大学医学部の特徴についてお聞かせ下さい。

関西医科大学は88年の歴史があり、8,000名以上の同窓生を持つ伝統ある医学部です。卒業生は日本や世界各地で医師として活躍しています。同窓生の団結は強く、地方出身の学生が卒業後に地元に戻った際の手助けや地元医師会との関係づくりなどにご協力いただいておりますし、大学の運営に関しても奨学金制度のための寄付など様々な分野で力をお借りしています。本学の同窓生の存在はとても心強く、有り難いものです。
近年は学習環境の改善に取り組み、滝井(大阪府守口市)から枚方市にキャンパスを移し、今から10年前に新病院、3年前に新学舎が完成しました。旧学舎の建て替えではなく、広く新しい土地に学舎を作ることができましたので、以前よりも快適に大学生活を送ることのできる環境が整っていると思います。
また、本学は伝統的に河内地方の北側における医療を担ってきましたが、在学中にできるだけ多くの学生にへき地医療や地域医療について学び、体験してほしいと考えています。人も機材も足りず、何一つ満足にできない環境の中で実習を行うことが、医療という行為そのものについて考え直す機会になると思います。大学病院や都会の大病院では、あらかじめ医師の診察を受けてから紹介状をもって来院される方が大半です。そのような患者さんは学生にとってレベルが高すぎるため、初期の実習においては学生が得られるものは少ないのかも知れません。しかし、地域に赴き、挨拶や世間話に近いような問診実習を行う中で、コミュニケーションの取り方や医師としての自覚、責任感を養ってもらうことが大きな狙いです。

関西医科大学

Q2.医学部教育の特徴などありましたらお聞かせ下さい。

大きな特徴の一つが国際化です。国際的に活躍できる医師が社会に求められていることもあり、世界を相手に医学・科学の分野で勝負できる医師を養成していきたいと考えています。海外での学習に積極的な学生に関しては留学を通して、海外の医学教育や異文化を体験してほしいと考えていますが、積極的ではない学生が国際交流を経験することも重要と考えています。そこで、海外の大学から学生を招き、滞在してもらうことで、留学に消極的な学生にも海外の医学に触れる機会を提供したいと考えています。そのため、交換留学制度を活用した学生全体への働きかけを今後も行っていきたいと思います。なお、分野別国際認証に関しては、本学は平成31年の受審を予定しており、9つの大きな分野にそれぞれ対応するために着実に準備を進めています。
また、実際の病院や介護施設で行う実習活動も多くカリキュラムに取り入れていることも特徴の一つです。低学年次から実習があり、5・6年生は実際の病院で実習を行います。学生をチームに一人ずつ配置することで、自分で考え、行動する力を養ってもらうことを目的としています。学生は何もできないかも知れませんが、"チームの一員"としての評価が学生自身にフィードバックされるシステムになっています。具体的には、学生なりの頑張りや、時間を守ること、患者さんとの接し方、態度などがその評価対象です。
世間では、今の学生は挨拶ができない、質問をしても答えが返ってこないなど、様々に批判されることがあります。常にスマートフォンなどの情報機器が傍らにある生活が当たり前になり、図書館で本と向き合いながら勉強している学生は本学でも大変少なくなってしまいました。そして実際の医療の現場でも、若い医師が電子カルテと並行してナレッジアプリを使用し、分からないところをすぐ調べながら診察することを問題視する声も上がっています。ただ、自分の知識に自信が持てず、患者さんに間違った診断を下すわけにはいかないという彼らの主張も理解できますし、アメリカではスマートフォンを使った新しい教育の在り方について積極的に議論されています。現代の大学には、昔からのやり方のよいところは受け継いでいく中で新しい技術や文化を積極的に取り入れていく姿勢が、必要なのではないでしょうか。と同時に、このような情報化社会の中で、人対人のコミュニケーションや社会常識を知ること、医師として正しい倫理観を持つことは、これまで以上に医師の重要な課題であると考えています。学生にも医療倫理や電子データの取り扱いについての講義を、積極的に行っていきたいと思います。

関西医科大学

Q3.先生ご自身のことについてお聞かせ下さい。

私は大阪府の出身のため、大学受験では主に関西圏の大学を受験しました。高校生の頃は医学部志望ではなく、工学部志望でした。大阪万博のあった1970年代はコンピュータの黎明期で、電子工学に興味がありました。しかし、当時の電子工学は時代の最先端を行く学問でしたので大変人気があり、工学部の受験に失敗して浪人することになりました。当時は大学入試に関して一期校、二期校という制度が採用されており、高校生の人数も多かったことから、受験は今よりも過酷な競争でした。受験に失敗した後、医師だった親から進路について考え直すように勧められ、助言に従って医学部を目指しました。工学部を目指していながら医学部に入学しましたが、医療にコンピュータが導入されると自分の興味と医療が結びつくようになり、医学部に進路を変更したことを後悔することはあまりありませんでした。大学を卒業した後は耳鼻咽喉科に進みましたが、外科系手術の術式が大きく変化する時代の中で、様々な機器を駆使した最先端の医療を身につけたい、という思いを持ちながら働いていました。

関西医科大学

Q4.関西医科大学医学部を目指す受験生と保護者の方にメッセージをお願い致します。

高校生、浪人生の時期には、医師になると言っても、家族や親戚など身近に医師として働く人がいないとイメージが湧かないのではないかと思いますし、それは仕方のないことだと思います。まず知ってほしいのは、医師になるということは基本的には人を相手にして仕事をするということです。研究者になれば相手は動物になりますが、医師は基本的には人が相手です。だからこそ、人と話ができるということは何よりも重要なことだと思います。また、困っている人がいるときに見て見ぬふりをするのではなく、助けてあげた方が良いのではないかと"迷う気持ち"を持ってほしいと思います。なかなか行動に移せなくても、その気持ちを持っていることが素晴らしい医師になるために必要な条件の一つだろうと思います。
また、患者の診察を行う臨床医だけが医師の生きる道ではありません。医学部に入学する大きなメリットの一つは、科学者としてなど様々な分野で活躍できる可能性があることだと思います。医師として最低限のことをクリアする必要はありますが、それ以降は自分の希望に合ったキャリアプランを描くことができます。進路に迷っている人は医学部を選択肢の一つとして検討してほしいと思います。
ところで、本学でも医学部入学後のモチベーションが続かない学生がどうしても出てきてしまいます。そんな学生には、とにかく卒業までは頑張ってみなさいと指導しています。自分がやりたいことが何か別にあったとしても、医師免許を持っていることはステータスであり確実にプラスに働きます。さらに立場、視点、発想が医師とそうでない人とは全く違います。6年間頑張ってみるように指導するのが心苦しい場面もありますが、医師免許を取得して医師としての視点を手に入れられることを考えれば、乗り越える価値があると思います。また、学生によってつまずきの原因が異なりますので、学生個人の話を丁寧に聞くことが重要ではないかと考えています。
それと入試やオープンキャンパスで保護者の方と接するときに感じることですが、親御さんがご子息の医学部合格を自慢するようなことではいけないと思います。親が医師になるわけではなく、医師になるのはお子さんです。また、高校も医学部進学実績が欲しいあまり、医師になりたくない生徒に医学部を勧めるようなことがあると伺っています。保護者も高校も本人の意思を尊重した進路指導を行っていただきたいと思います。

ともだこういち
友田幸一先生 略歴

略歴
昭和52年3月 関西医科大学医学部卒業
昭和60年6月 筑波大学耳鼻咽喉科学講座講師
昭和62年7月 関西医科大学耳鼻咽喉科学講座講師
平成 6年5月 関西医科大学耳鼻咽喉科学講座助教授
平成 9年4月 金沢医科大学感覚機能病態学教授
平成20年7月 関西医科大学耳鼻咽喉科学講座教授
(※平成25年4月から耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座)
平成24年4月 学校法人関西医科大学評議員
       関西医科大学副学長
平成27年4月~ 関西医科大学学長