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熊本大学医学部長 安東由喜雄先生

熊本大学医学部長 安東由喜雄先生
進路の決め方

Q1.熊本大学医学部の特徴についてお聞かせください。

熊本における医学教育の源流は、宝暦6年(1756年)肥後藩の細川重賢公が創設した医学寮再春館まで遡ることが出来ます。本学医学部医学科の歴史も、明治29年(1896年)に創立された「私立熊本医学校」に始まり、これまでに1万人を超える卒業生が輩出しています。卒業生は全国で医師や研究者として幅広く活躍しています。医学部には医学科、保健学科があり、大学院には発生医学研究所、エイズ学研究センター、IRCMS研究科があります。大学院の研究科はそれぞれ独立して研究活動を行なっていますが、いくつかの理由で医学研究部が大学院のそれぞれの研究科を束ねています。
熊本大学医学部は基礎医学の研究が全国的に有名なことで知られています。1990年代には日本全国から優秀な研究者が集まり、基礎医学の先進的な研究が数多く行われてきました。現在でもトランスレーションリサーチと呼ばれる、基礎医学研究と臨床医学のタイアップした取り組みが行われています。入学してくる学生も研究志向が強く、半分くらいの学生は研究に興味を持っていると思います。近年、専門医の資格が重視されており、学生が大学院への進学をためらいがちではありますが、三年次に基礎や臨床の教室での研究実習期間を三ヶ月設けています。また、全国的に病理医、法医学者などが不足しており、研究医の不足と共に問題視されています。国も危機感を持って対応してはいますが、臨床活動が学生には人気があり、人手不足を解消するのは難しい問題です。
特色ある学生を採用するため、入試では特に面接に力を入れています。「どうして熊本大学医学部を志望するのか」、「どうして医師を目指すのか」などの準備できるような質問はなるべく避け、自分の考えを述べてもらうような質問をすることで、医師としての適性のある学生を採用することを考えています。

熊本大学医学部

Q2.熊本大学医学部医学科の教育に関する特色などをお聞かせください。

熊本大学医学部医学科は、「豊かな人間性と高い倫理観を持ち、医学およびその関連領域における社会的な使命を追及、達成しうる人物を育てるために、科学的で独創性に富む思考力を涵養すると共に、医師として必要な基本的知識、技量を修得させ、生涯にわたって自己研鑽を積むことのできる人材教育を実施すること」を教育目標としています。このような教育目標を達成するために、医学部医学科では、次のような人を求めています。
1.病める人たちやその家族の気持ちを理解できる豊かな人間性を持つ人
2.チーム医療の中心的役割を果たすための優れた協調性と高い倫理観を持つ人
3.地域医療に関心を持ち、地域住民の健康増進に貢献する意欲を持つ人
4.科学的探究心が旺盛で、国際的視野で医科学研究を展開する意欲に溢れる人
5.社会に対する幅広い視野を有し、地域や国際社会における保健医療や福祉に深い関心を持つ人
6.日々進歩する医学や医療の最新知識を吸収できる基礎学力を持ち、生涯にわたって自己学習を継続できる人

医学科のカリキュラムは、アドミッションポリシーを実現するために強い倫理観に基づき、医学及びその関連領域における社会的な使命を追及、達成し得る人物を育てることを 目的とし、科学的で独創性に富む思考力を涵養するとともに、医師として必要な基本的知識、技量を修得させ、生涯にわたって自己研鑽を積むことのできる人材を育成できるように工夫されています。
医学科の教育では、医師、医学者あるいは医療福祉系行政官として社会的使命を追及・達成できる人材を育成することを重視しています。また、医師を目指す学生には豊かな人間性とともに柔軟な社会性をもつことを期待しています。
医学専門科目の教育は、基礎医学(分子・細胞生物学、生体機能学、感染・免疫学、病態学、環境社会医学)と臨床医学(内科学、外科学、成育医学、感覚・運動医学、脳・神経・精神医学、総合医学)さらに全学的研究センターの協力で、それぞれ連携をとりながら高度な専門知識を教育しています。

熊本大学医学部

Q3.先生ご自身のことについてお聞かせください。

私は大分県別府の出身です。父が国立病院で薬剤師をしていたことから、常に周囲には医師がいる環境で育ったこともあり、小学生の頃から医師を目指していました。父も私が医師になることをとても応援してくれていましたので、医学部に合格した時はとても喜んでくれました。当時は大分には医学部がありませんでしたので、熊本大学医学部を志望しました。高校時代はテニスをしていましたし、現役時代は英語の塾に通うくらいしか受験勉強の手段がありませんでした。当時も赤本はありましたが、今のように参考書や問題集がたくさんある時代ではありませんでした。熊本大学医学部は難関でしたので、浪人もして予備校に通って、自分でも工夫しながら勉強して合格することができました。
大学時代は、入学した時から研究志望であり、五年生の時に神経内科の荒木淑郎教授による多発性硬化症についての講義を聞いたことをきっかけに興味を持ち、神経内科の研究者になる道へと進みました。当時の熊本には難病の患者のための臨床機関もあり、そこで経験を積みながら多くの有意義な研究を行うことができました。私が研究している難病には様々な種類のものがあります。現在研究費はどんどん減少しており、熊本大学も医学教育基金を作って研究や教育を行なっているのが現状です。世間の注目はどうしてもガンや、アルツハイマー、生活習慣病などの知名度の高い病気に集まりがちですが、私はそれ以外の病気にも目を向けるべきだと考えています。
私の出身地である別府は、温泉地のため温泉治療棟があって、私は幼い頃から温泉で下半身不随の治療をしている人々を目にしてきました。私の難病を治したいという思いはこうして養われたのかも知れません。これからも難病に苦しむ人々のために、研究や教育を行なっていきたいと考えています。
現在、熊本大学で医学部長、生命科学研究長、大学院教育部長と三つの役職を頂いて忙しさを感じることもありますが、スポーツジムに通ったり、夫婦で映画を鑑賞したりしています。最近も美女と野獣を観に行きました。映画が好きになったきっかけは、幼いころの別府にはまだ米軍が寄港していて米兵相手の映画館がありました。そこに兄に連れていかれて映画の魅力に目覚めました。中学生頃から今日までたくさんの名作を観ました。映画に関する本をいくつか出版しています。
読書をしたり、映画鑑賞をしたりすることによって教養を身につけていくことは人生を豊かにしていると感じています。

熊本大学医学部

Q4.熊本大学医学部を目指す受験生にメッセージをお願いいたします。

熊本大学医学部では受験生に対して敢えて応用力を見るような面接を試みています。理由としては、自主的に物事を考えることができる学生を求めているからです。
熊本大学医学部はオンリーワンを目指しており、型にはまることなく、自由でフランクな校風のもとで優秀な人材を輩出してきました。我々の使命は良い人材を育て、世界に情報を発信していくことだと考えています。
医師になるためには、豊かな教養に裏付けされた人間性が必要です。今後、AIの発達などで診断学などは自動的に出来るようになる時代が来るかも知れません。人間の医師は機械がカバーできないファジーな部分をフォローすることが必要だと思います。最近の学生は本を読まず、映画を観ることが趣味の学生も減ってしまっていました。下手をすると恋もしたことがないという学生さえ見かけます。教養の低下は深刻な問題です。医師を目指すみなさんには、是非知識をつけることはもちろん、教養も身につけて欲しいと考えています。

関連リンク 熊本大学ホームページ

あんどうゆきお
安東 由喜雄先生 略歴

学歴・職歴
昭和58年 熊本大学医学部卒業
昭和61年~平成2年 熊本大学医学部大学院(第一内科、第二生化学)
平成4年 熊本大学医学部第一内科 助手
平成8年~平成10年 スウェーデン ウメオ大学内科学教室 客員教授
平成10年 熊本大学医学部附属病院 中央検査部 助手(神経生理検査室室長)
熊本大学医学部医療技術短大非常勤講師
平成11年 熊本大学医学部 臨床検査医学講座 講師
(中央検査部 神経生理検査部門 遺伝子診断部門室長兼任)
平成15年 熊本大学大学院医学薬学研究部 病態情報解析学 講師
平成18年~平成27年 熊本大学大学院医学薬学研究部 病態情報解析学 教授
熊本大学医学部附属病院 中央検査部長 輸血部長兼任

平成19年~21年 先進医療担当副病院長
平成19年~25年 本荘地区RIセンター長兼任
平成23年~25年 先進医療担当副病院長
平成23年~ 高度医療開発センターセンター長
平成24年~ 熊本大学大学院生命科学研究部 神経内科学分野教授
平成25年~ 熊本大学医学部医学科長兼任 臨床医学研究教育センター長兼任
       熊本大学医学部 副医学部長
平成28年~ 世界アミロイド―シス学会 副理事長
平成29年~ 熊本大学医学部 医学部長
熊本大学大学院生命化学研究部長 兼任
熊本大学大学院医学教育部長 兼任

資格
臨床検査専門医、検査管理医、認定臨床化学士、内科学会認定医、リハビリテーション医学臨床認定医、神経内科指導医、神経内科専門医

学会活動
世界アミロイドーシス学会理事長(International Society of Amyloidosis)、日本神経学会理事、代議員、日本臨床化学会理事長(平成23年度から26年度まで)、厚生労働省アミロイドーシス研究班、班長(平成23年度から)、日本臨床検査医学会副理事長(H.24年まで)、第13回世界アミロイド―シス学会会長、第8回世界家族性アミロイドニューロパチー学会会長、第16回世界アミロイド―シス学会会長、Amyloid: Associate editor, BMJ Surrounding Editor、J Int Cancer Editorial board member、Trans Neuroegener board member、日本自律神経学会理事、第59回日本自律神経学会会長、神経学会教育委員会委員、神経学会卒前研修小委員会委員長、日本神経治療学会評議委員、日本検査専門医会理事、日本内科学会評議委員、日本臨床検査学会評議委員、認定専門医、日本神経学会認定専門医、指導医、アジア大洋州臨床化学会教育委員、日本末梢神経学会評議委員、日本医用マススペクトル学会評議委員、熊本県精度管理委員会会長、九州精度管理委員会理事

所属学会
日本臨床検査医専門医会、日本神経治療学会、日本生化学会、日本臨床検査医会、日本臨床化学会、日本内科学会、日本神経学会、日本末梢神経学会、日本自律神経学会、日本臨床化学会、日本NO学会、SFRR, 日本リウマチ学会、アメリカ自律神経学会、世界アミロイドーシス学会、日本医用マススペクトロメトリー、日本輸血・細胞治療学会など

研究テーマ
1. アミロイドーシスのアミロイド沈着機構の解析と治療
2. 検査医学
3. 血中蛋白の代謝動態の解析と制御
4. 自律神経障害の評価と治療
5. 神経疾患の活性酸素障害の解析と治療

賞罰
1. 平成5年度 熊本大学医学部第一内科同門会賞受賞
2. 1995年 アメリカ自律神経学会賞受賞
3. 平成10年度 熊本大学神経内科同門会賞
4. 平成10年度 熊本医学会賞受賞
5. 1999 年 スウェーデンHonorary PhD賞受賞
6. 平成12年度  日本臨床検査医会賞受賞
7. 平成18年度  日本神経治療学会(治療活動)賞
9. 2010年 Longest travel award (世界アミロイドーシスシンポジウム)
10. 平成23年度 熊本大学特別表彰(研究活動表彰)
11. 平成24年度 熊本大学特別表彰(研究活動表彰)
12. 平成25年度 熊本大学特別表彰(研究活動表彰)
13. 平成26年度 熊本大学特別表彰(医療活動表彰)
14. 平成26年度 公益信託臨床検査医学研究振興基金 小酒井望賞