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日本医科大学医学部長 伊藤保彦先生

医学部進路の決め方

Q1.日本医科大学の教育カリキュラムの特徴について教えて下さい。

本学のカリキュラムは、国内医学部でいち早く、国際認証基準に対応しました。国際認証基準とは、アメリカの医師国家試験の受験資格を審査するECFMGが、2023年以降、医学教育の国際認証を受けている医科大学・医学部の卒業生以外には受験資格を認めないと宣言しました。そのため、WFME(世界医学教育連盟)のグローバルスタンダードに沿いカリキュラムを改革し、医学教育の質保証を進めることになりました。
この改革により、従前のカリキュラムより、臨床実習が約20週増加し70週となりましたが、基礎科学、基礎医学、臨床医学の座学や実習が今までと同様な学習時間のままとなり学生の負担が増しました。負担が増した部分では、ICT技術を活用した学生のサポート体制を整えました。予習・復習をサポートするe-learning学習支援システムを開発し、インターネット上に公開された講義資料で予習し授業に臨めるので理解度が深まります。また、授業の様子を収めた動画も公開しているので、いつでも何度でも復習することができます。SGLの授業では、Big Pad(大型電子黒板)を使用し、グループ毎の学習成果が共有できるようになりました。人口知能との連動も開発予定です。
座学と実習を終えると、studentdoctorの認証を受けるための2つの関門があります。ひとつは医学的知識を問うCBT、もうひとつは技能・態度を問うOSCEです。CBTに関しては、座学や実習の授業に出席することで試験に必要な知識を得てもらえるよう工夫し、CBT試験の合格率が向上するよう導いています。また、OSCEに関しては、基本臨床実習等の授業の中で、技能・態度を高める教育をしています。
臨床実習が長くなり、生身の人間と関わるということは良いことですが、医学生に医行為をさせるということは、非常に高いハードルになります。このようなことから、診療技術を習得するうえで、シミュレーション教育の重要性がより高まっており、医学部を卒業と同時に医者として使えるレベルに達するためにはシミュレーション教育による技能の習熟が不可欠な時代になっています。また、将来的には、AIを活用したOSCEを導入し、試験をより標準化していこうという考えもあります。臨床実習(CC)においては、診療録の記載学習が必須になりますので、学生用の電子カルテシステムを導入し、学生が自由に診療録に記録する実習体制を整えました。
日本医科大学は、時代の最先端をいくカリキュラムを提供していきます。

東京女子医科大学医学部

Q2.ご自身が、医師を目指されたきっかけや受験勉強でのエピソード、人生のターニングポイントなどについて、お聞かせ下さい。

実家は千葉ですが、兄が開成学園に入学していた縁もあり、中学校から開成学園に進みました。開成学園で一番の思い出は、運動会でした。大変な思い出がありまして、私は棒倒しの守り、遊撃と言うのですが、その先頭でした。相手は全速力で向かってきてこちらにぶつかってきます。あの恐怖を考えると今、大概のものは怖くないですね。最近はケガをすると保護者からの心配の声が大きくなっているので、私の時代とは多少違いますが、あの独特な運動会が象徴する”開成マインド”は変わっていないと思います。ともかく開成のマインドとは「自分たちの力で世の中変えられるぞ!」とみんな思っているという雰囲気を持っています。それは自分の中にも受け継がれています。
医者になろうと思ったのは小学校の頃です。一つは幼少期に心臓が悪かったので、医者にかかる機会が多くて、診察してもらっていたお医者さんがとても格好良く見えたのと、後は”巨人の星”の主人公の星飛雄馬が唯一恋愛する、ミナさんの山の診療所のお医者さんが凄く格好良く見えたのです。そのお医者さんは、ひげを生やしていたので、その影響で私もひげをはやしているんです。また、僻地のお医者さんになりたいと思ったのもこのお医者さんの影響でした。
現役での受験でしたので、浪人するものと思っていましたが、合格を頂いた日本医科大学に進学しました。入学後は文化系の部活動に加入し一生懸命やりました。また当時の薬理学の教室で研究配属のようなものがありました。2年生の時にお世話になったことがきっかけで薬理学教室に良く遊びに行っていました。研究マインドというよりも、楽しく過ごせばいいと思うのです。研究室行って。「今日先生何やっているのですか?」と「今日はねずみのここを、こういう風にやっているのだよ」と。見せてもらって、そのあと昼飯でも食べに行こうかというだけでも研究マインドは培われるものがあるのではないかなと思います。
大学に残っているのは、自分の書いた論文を学会で発表して手ごたえを感じるようになりました。そのあたりから、教育、研究、診療の3つが思う存分できる大学に残ろうかと考えるようになりました。

東京女子医科大学医学部

Q3.最後に、日本医科大学を目指す受験生に求める心構え、メッセージをお願い致します。

うちの大学は特に正攻法で来ていただいた方がいいと思います。本学の出題傾向を勉強することも大切ですが、どこを受けても受かるような勉強をされた人が合格するような受験にしたいと思っています。しっかり学力を身に付け、正攻法で来た人の方が、面接でも筋の通ったことが言えると思います。普段からそういう心構えで学習を続けることが必要なのではないかと思います。

関連リンク 日本医科大学ホームページ

いとうやすひこ
伊藤保彦先生 略歴

学歴・職歴
昭和58年 3月 日本医科大学卒業
昭和58年 5月 日本医科大学小児科学教室入局
昭和63年 4月 日本医科大学小児科学教室助手
昭和63年 6月 米国オクラホマ州オクラホマ医学研究財団Research Scientist
~平成 3年 5月 自己抗体とくに抗Ro抗体の研究 (Prof. Morris Reichlin)
平成 1年 3月 医学博士
平成 3年 6月 日本医科大学小児科学教室助手に復帰
平成10年10月 日本医科大学小児科講師
平成16年 4月 日本医科大学小児科助教授 (平成19年4月准教授)
平成24年 4月 日本医科大学大学院医学研究科 小児・思春期医学教授
平成26年 4月 日本医科大学教務部長
平成30年 4月 日本医科大学医学部長

専門医
日本小児科学会専門医,日本リウマチ学会認定指導医,日本リウマチ学会専門医,日本アレルギー学会専門医

主な学会活動
日本リウマチ学会      評議員
日本小児科学会       代議員
日本小児リウマチ学会    理事、理事長(2014-2018)、第15回学術集会会長(2005)
日本シェーグレン症候群学会 理事、第26回学術集会会長(2017)
日本疲労学会        評議員
日本未病システム学会    評議員

所属学会
日本小児科学会,米国免疫学会,日本免疫学会,米国リウマチ学会,日本リウマチ学会,日本小児リウマチ学会,日本アレルギー学会,日本血液学会,日本感染症学会 等

主な研究テーマ
・小児膠原病,自己免疫疾患,とくに自己抗体・自己抗原の研究
・小児の不定愁訴,慢性疲労症候群と自己免疫の関係について