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愛知医科大学医学部長 若槻明彦先生

進路の決め方

Q1.愛知医科大学の教育カリキュラムの特徴について教えて下さい。

愛知医科大学は2019年9月に日本医学教育機構(JACME)の医学教育分野別評価(国際認証)の受審に向けて,領域1から領域9の自己点検報告書を領域毎のリーダーを中心に作成中です。
医学部がこの分野別評価を受審する背景には、国際基準に合わせた医学教育の国際化という流れがあるからです。全国81の医学部が受審を予定しており、現段階では、約半数くらいの大学が認定されています。
医学教育は急速に変化しており、なかでも臨床実習が増えたことが大きく変わった点です。臨床実習期間が80週くらいを目標に増やしている大学が多く,本学でも同様に現在72週行なっています。一方、臨床実習が増えた分,科目授業は低学年に組み入れざるを得えない状況となっています。通常、臨床実習は高学年で行いますが、今は低学年からモチベーションを植え付けるような意味もあり、看護体験実習として看護師の手伝いや、臨床見学実習などの取り組みもしています。
医学部に入学すると、卒業して医師国家試験に合格しないと医師になれません。しかし、医師になることだけを目標とするのではなく、全人的な医療ができる医師になるために人間性や一般教養などを兼ね備えるための教育にも力を注いでいますし、愛情を持った医療人を育成したいと考えています。そのため、「プロフェッショナリズム」の講義を多く取り入れています。また、アクティブラーニングをはじめとする能動的学習も積極的に行っています。一方、1学年時には、「学生と教員とのふれあい朝食会」を行っています。これは朝8時から学生と理事長、学長、医学部長を含めて多数の教員が一緒に朝食をとるもので,入学した学生が規則的な生活を送ることを目的として年3回行っています。
地域医療教育にも力を入れています。地域枠の学生は毎年10人入学しており,その学生たちには将来、愛知県の地域医療に従事してもらいます。6年前に初めて入学した地域枠の学生たちは今年卒業をしました。今後、愛知県の地域医療の充実に貢献できると確信しております。
本学の講義の特徴としては、IPE(多職種連携)教育を開始しております。現在は看護学部との合同で行ったり、本学所在地の長久手市の市長の講義なども導入しておりますが、他大学との連携までは実現できていません。将来は看護以外の領域とも合同で行う計画があります。
講義時間は以前、90分でしたが、現在70分に短縮しています。カリキュラムは大学独自で特色のあるものに取り組んでいます。例えば、6限目を選択講座とし,一般の科目講義ではなく、通常の講義では得ることのできないフレキシビリティの高い内容にしています。また、基礎と臨床をつなげた統合講義にも取り組む試みをしています。
医師国家試験も重要です。目標は医師国家試験の合格率が高く、留年者が少ないということです。在学年数内での卒業すなわち6年間での卒業できるような指導がされておりますが、本学では学生の成績が向上しており、留年者は少なくなっている傾向にあり、昨年の医師国家試験合格率は新卒で95%を超え、合格者は初めて100名以上となりました。
国際交流も5か国6大学と提携しており、学生や教員の交換留学を行っています。また、教員の教育へのモチベーション向上の目的で1週間程度の海外研修も計画しています。
その他に私個人のアイデアですが、長久手市は愛知県の中で人口増加率が一番で、平均年齢も非常に若いという特色があります。また住みやすさランキングではいつも全国トップ3に入っています。すなわち、人口動態が他の市町村とかなり異なりますので、長久手市を中心とした愛知医科大学のコホート研究(長久手スタディ)を計画しています。

また女性医師へのサポートですが、近年妊娠・出産を経て社会復帰する女性医師特有のキャリアの問題が大きく取り上げられております。本学の場合は女性医師が働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。例えば、学内の保育所は増築・改築し、保育士も増員をして、給食保育、24時間保育ができる環境に設定しています。また、1週間で24時間勤務の短時間勤務も積極的に取り組んでおり、女性医師が働きやすい環境になっていると思います。

愛知医科大医学部

Q2.先生ご自身が、医師を目指されたきっかけや受験勉強でのエピソード、人生のターニングポイントなどについて、お聞かせ下さい。

私の出身は高知県で、人口5000人くらいの山奥にある田舎の町です。私の祖父と父が医師だったので、その家系の環境で生まれ育ったことが医師を目指す背景にあったと思います。また自分自身の体験として、小学校低学年の時に骨の感染症にかかりまして、骨壊死を起こし手術を受けることになったのも、医師を目指すモチベーションになったと思います。
大学は愛知医科大学に進み、父が産婦人科だったので卒業後は産婦人科を選択しました。現在、地域医療を担うだけの産科医師は充足しておりません。昨今、医師の地域偏在が注目されておりますが、診療科偏在も社会的に大きな問題です。産科は昼夜関係なく多忙で、しかもリスクが高い極めて厳しい診療科です。ですので、医師になって産科を選択するのは、よほど強い意志とモチベーションが必要という訳です。

Q3.最後に、愛知医科大学を目指す受験生に求める心構え、メッセージをお願い致します。

本学が現在目指している教育方針は屋根瓦式教育です。本学の卒業生が卒業後、教員となり、後輩である学生を教育できる体制を作ることです。屋根瓦式教育が重要な理由は、学生は教員のアドバイスよりも少し上の先輩からの刺激を受けやすいからです。
2、3学年の学生の中から将来、教員や指導者になるための教育を行う計画もしています。まず、大学院で学位を取得し、海外留学や、できれば厚生労働省の医系技官も経験させ、全てが終了後に医学教育センターで後輩の学生を指導する。この体系が確立しますと、学生に非常に刺激的だろうと思います。
「ゴッドハンド」という言葉がありますように、医療技術は必要です。しかし、その前に人間性がもっと重要だと思います。百人の患者さんがいれば百通りの性格、生活環境があります。患者さんは医師に身をまかせる訳ですから、担当医師のことはよく知っています。従って、医療技術も当然必要ですが、医師としての総合力が重要です。そのためには臨床のみならず研究や教育歴も必要になってきます。総合力を兼ね備え、患者さんから「先生だったら全てお任せします」と心から言ってもらえる医師こそが本当の「ゴッドハンド」なんだと教育しています。

関連リンク 愛知医科大学ホームページ

わかつきあきひこ
若槻明彦先生 略歴

学歴
昭和59年 3月 愛知医科大学医学部卒業
平成 6年 3月 医学博士取得(高知医科大学)

職歴
昭和59年 6月 高知医科大学医学部付属病院研修医(産婦人科)
昭和61年 3月 高知医科大学医学部付属病院助手(産婦人科学講座)
平成 元年 9月 外国留学(アメリカ、アメリカ合衆国カリフォリニア州
         アーバインカリフォルニア大学医療センター Research Fellow)
平成 7年 7月 高知医科大学医学部付属病院 講師(周産母子センター)
平成13年 6月 高知医科大学医学部付属病院助教授・副部長(周産母子センター)
平成16年 4月 高知大学医学部助教授(生体機能・感染制御学講座)
平成17年 5月 愛知医科大学医学部教授(産婦人科学講座)
平成23年 4月 愛知医科大学病院副院長(平成30年3月まで)
平成26年 5月 愛知医科大学副学長
平成30年 4月 愛知医科大学医学部長

学会
平成11年 日本女性医学学会(理事長)日本産科婦人科学会(代議員)
平成13年 日本産科婦人科内視鏡学会(理事)日本妊娠高血圧学会(理事)
平成15年 日本女性栄養・代謝学会(理事)日本動脈硬化学会(評議員)
平成19年 日本性差医療・医療学会(理事)日本産婦人科乳腺学会(理事)