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東邦大学医学部長 渡邉善則先生

医学部進路の決め方

Q1.東邦大学医学部が育成したい医師像、そのための教育カリキュラムの特徴について教えて下さい。

本学の建学の理念は、自然に対する畏敬の念を持ち、生命の尊厳を自覚し、人間の謙虚な心を原点として、かけがえのない自然と人間を守ることで、そのための人材を育成し、研究を行い、社会に貢献することにあります。したがって、本学部が育成したい医師像は、医学を通じて人類の福祉に貢献し、医学の理論と応用とを享受し且つ研究し、社会に貢献する医師です。そのために、教育カリキュラムは、豊かな知性と深い医の倫理観に基づいた全人的医療が行える、人間愛に満ちた「より良き臨床医」を育成するために策定されています。具体的には、文部科学省から示された最新の医学教育モデル・コア・カリキュラムに合わせた、新たな医学教育に取り組んでいます。モデル・コア・カリキュラムには医師として求められる基本的な資質・能力が示されていますが、私立か国立かで異なるものではないため、独自性を保つため、建学の理念や教育目標を達成するためにどんな人材を求めているかを、医学部アドミッションポリシーとして明確に提示し、世界医学教育連盟のグローバルスタンダードに準拠したカリキュラムを実施しています。本学の教育カリキュラムの最大の特徴は、全ての学生に卒業論文として総説あるいは原著論文を求めていることです。学生1人に指導教員1人が完成まで対応し、卒業までに医学論文を完成させることが求められます。全ての教員が実行可能な研究テーマを提示し、基礎医学から臨床医学まで幅広いテーマの中から、学生が選択できるシステムになっています。大学院生と同等の研究に携わることも可能で、大学院講義を受講することで、大学院の単位を一部取得することも可能です。新たな時代に向けた、多様性のある医療人育成を目指したカリキュラムを実施しています。
今日社会で求められている医師像は、患者に寄り添った倫理観のある医師です。実際にはかなりハードルが高いと言えますが、期待に応える医師でなければなりません。そのためには、疾患を理解するだけでなく、患者の気持ちや医師としての倫理観を、自ら学び実践する姿勢を持っていないといけません。本学では、講義、実習や演習の無い自学自修の時間を、フレキシブルタイムとして設けています。このフレキシブルタイムでは、学生が自らの目標を掲げ学修するため、メディアセンター(所謂図書館)にセルフラーニングスクエア、リサーチスクエア等に213席を設け修学環境を整備しています。また、臨床系の技術トレーニングのためのシミュレーションラボを、メディアセンターと直結して設置し、学生が知識と技術を同時に学べる環境を整える予定です。

東邦大学医学部

Q2.ご自身が、医師を目指されたきっかけや受験勉強でのエピソード、人生のターニングポイントなどについて、お聞かせ下さい。

9歳の時に大きな怪我をして、約6か月に及ぶ入院生活を経験しました。私の家系には医療に関わる人がいなかったので、初めて医療を身近に感じ、漠然と医師になりたいと思いましたが、本当に決意したのは高校2年生の頃だったと思います。今にして思えば、何故医学部を目指したのか明確な理由は思いつきませんが、長期の入院体験が誘因になったと思います。当時は医学部が多数新設され医学部ブームが起きた時期で、競争率は軒並み20倍以上でした。当然と言えば当然だったと思いますが、高校生活を充分楽しんだ結果、現役の時は散々な結果でした。人生で初めて階段を踏み外した絶望的な気持ちでしたが、1か月程勉強から離れて気持ちをリフレッシュし、英語、数学、生物、化学で確実に点が取れる事を目指し、勉強を再開しました。夏までに徹底的に基本を見直し、夏以降は可能な限り多くの問題を解き、応用力をつけるように努めました。その結果、翌年に本学医学部に入学することができました。受験勉強でのエピソードはありませんが、とにかく全てが灰色に感じた時期で、出口の無いトンネルに入ったようでしたが、一歩一歩進むことで必ず出口にたどり着きます。出口の無いトンネルはありません。
私にとって人生最初のターニングポイントは、全く医療と関わりのない家庭環境の中で医学部に進学したことです。医学部での生活以降は全てが新鮮で、解剖学、生理学、生化学などの授業、白衣、聴診器、眼底鏡、耳鏡、打腱器など、どれをとっても新しいおもちゃを買ってもらった子供のように、わくわくしていました。
医学部に進学すると言うことは、医師となるためのカリキュラムに則って、学修・卒業するだけではなく、医師国家試験に合格することが必須の目標になります。医師国家試験に合格した後は、初期臨床研修、後期臨床研修、専門医資格、指導医資格、学位など多くの目標が現れますが、個々に必要条件が定められているため、選択の自由はありますが、為すべき事を迷う事はありません。その一つ一つが重要な分岐点になるため、医師となった暁には、自らの努力と判断が必要なターニングポイントが、数えきれないほど訪れる事を覚悟する必要があります。

東邦大学医学部

Q3.最後に、東邦大学 医学部を目指す受験生に求める心構え、メッセージをお願い致します。

将来医師として社会に貢献する事を望み、本学の建学の精神、本学部の教育目標に共感し、自らの意思で、東邦大学医学部を受験してください。入学時に完成した人間など存在せず、他者に共感でき寛容で、自らを律することができる素養があれば、本学で6年間学ぶことで、必ず社会に貢献できる医師に成長します。皆さんの入学を、心よりお待ちしています。

関連リンク 東邦大学ホームページ

わたなべよしのり
渡邉善則先生 略歴

略歴
1975年 神奈川県立希望ヶ丘高等学校 卒業
1982年 東邦大学医学部医学科 卒業
1990年 東京医科歯科大学胸部外科学講座 国内留学
1994年 博士(医学)
1997年 ニューヨーク州Lenox Hill Hospital研修
1997年 東邦大学医学部胸部心臓血管外科学講座 講師
2005年 東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科 助教授
2011年 東邦大学医療センター大森病院大動脈センター 教授
2012年 東邦大学医学部外科学講座心臓血管外科学分野 教授
2012年 東邦大学大学院医学研究科代謝機能制御系心臓血管外科学 教授
2018年 東邦大学医学部 医学部長

所属
日本外科学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、
日本血管外科学会、日本冠動脈外科学会、日本冠疾患学会

専門分野
心臓血管外科