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大阪大学大学院 医学研究科 心臓血管外科教授 澤 芳樹先生

大阪大学大学院 医学研究科 心臓血管外科教授 澤 芳樹先生
進路の決め方

Q1.大阪大学医学部の特徴についてお聞かせ下さい。

大阪大学医学部は江戸時代に緒方洪庵が開いた適塾以来、約180年の歴史を持つ医学部です。緒方洪庵の適塾は天然痘の治療を行うことのできる医師を育成することを目的として開かれました。現在の大阪大学医学部の大きな特徴である、臨床医療を重要視する姿勢は適塾開学の頃から変わらない伝統です。また、江戸時代の大阪には藩がなかったことから、藩校がありませんでした。そのため、比較的自由な校風の中で教育が行われ、幕末の福沢諭吉に代表されるような多くの思想家を輩出しました。手塚治虫が大阪大学医学部を卒業していることから分かるように、自由闊達な校風に今でも変わりはありません。
適塾が閉鎖されたのち、しばらくの間大阪に医学の学校はありませんでしたが、府立医学校が開学し、1931年には府立医学校から日本で6番目の帝国大学である大阪帝国大学へと発展しました。これは政府主導のものではなく、民間の寄付が中心となって発展したものです。これより前に府立医学校時代に研究所を作る際にも多くの寄付が集まったと言われています。このように、民間の寄付が中心となって大学が発展したことも大阪大学医学部の特徴の一つです。
大阪大学医学部の魅力は、臨床医療です。京都大学は研究のイメージが強いと思いますが、大阪大学は古くから優れた技術を持った臨床医の育成に取り組んできました。現在でも、各診療科が全国のトップクラスの臨床医をそろえています。附属病院では長年にわたって、大阪の人々から大きな信頼をいただいています。

Q2.大阪大学医学部の教育の特色についてお聞かせ下さい。

大阪大学医学部では学生それぞれの志向に応じた幅広いカリキュラムを提供しています。三年次に行われる「選択必修科目」という授業では、ゲノム科学や癌生物学など10の研究分野から1つを選び、基礎から応用まで一連の講義や実習を通じて最先端の知識を身につけることが出来ます。「基礎医学講座配属」では、4ヵ月間希望する基礎医学講座に所属し、研究に専念します。この期間に、本学部が重視しているリーガルマインドを育み、将来臨床医になるとしても、リサーチマインドを持った、新しいことにチャレンジする医師になってほしいと考えています。
五、六年次の臨床実習では附属病院と基幹病院を実習の場とし、実際に患者に接することで臨床医として必要な態度、知識、技術を修得します。この期間に海外の提携校への短期留学をすることが可能です。海外で日本とは異なるシステムの臨床実習を経験することで医師としての知見を広め、新たな視点をもって帰国し、優れた臨床医になってくれることを期待しています。
将来、研究医を目指す学生に対しては、「MD研究者育成プログラム」という特別プログラムが用意されています。世界的な研究者を養成するためには、学生時代から研究者としての基礎と姿勢を身につけることが重要です。一、二年次から基礎医学系の研究紹介や教室体験などで実際の研究を見学、体験し、三年次から特定の基礎医学教室や付属研究施設に所属して本格的な研究を開始することが出来ます。医学研究手法や論理的思考力、情報収集能力などを養うほか、医学英語教育も重視しており、学会発表や海外留学も積極的にサポートしています。このプログラムは課外活動的な位置づけになるため、参加している学生の時間的負担は増えますが、意欲を持った学生が集まるため、非常に濃密な教育が行われています。
大阪大学医学部は常に、これからの時代にどういう医師を育成するべきかを考え、先を見越した医学教育を行ってきました。最先端の医学、医療を学ぶことはもとより、価値創造力やリーダーシップ、開拓精神の高い多様なグローバル素養など、全人的な医学医療の能力を身につけ、社会に貢献してほしいと願っています。

大阪大学

Q3.先生ご自身のことについてお聞かせ下さい。

私の祖父が大阪大学医学部の先輩であったことから、家族から医学部に進学するように勧められていましたが、小さい頃は車、電車、飛行機、船など大きな機械に興味があり、工学部への進学を考えていました。しかし、高校二年生の時、10歳ほど年上で大阪大学医学部に通っていた従兄弟が交通事故で亡くなってしまったことをきっかけに医学部への進学を決意しました。中学生の頃から続けていたバスケットボールを辞めて勉強に打ち込みました。府立の進学校に通っていましたので、先輩に勉強の進め方などを教えてもらいながら、授業よりも先の範囲まで自学自習を中心に勉強しました。特に数学は頑張って勉強していた記憶があります。
大阪大学医学部を卒業後、心臓外科に進んだ理由は人の命に直結する分野だからです。また、心臓を流れる血流に関しては流体力学の知識を応用して診療や手術を行うため、得意な数学を活かせる分野であったことも理由の一つです。心臓外科の手術は一人で行うのではなく、すべてがチームワークです。みんなで力を合わせることで成果を発揮することが出来ますので、手術が成功すれば非常に大きな達成感を味わえます。また、自分の治療が患者の命に直結しますので、治療の結果が患者の状態に直ぐに反映されることも大きな特徴です。研究の成果がすぐに臨床に反映される分野ですから、臨床医であっても高いモチベーションを持って研究に臨むことが出来ます。研究成果が反映されたり手術が成功したりして、患者の命を救うことが出来た時の達成感は言葉では表現できないものがあります。このように、大変やりがいのある分野ですが、その分努力しなければならないこともたくさんあり、ハードな分野であることは間違いないと思います。真面目に努力を積み重ねることが出来れば医師として大成することが出来ますし、大きな成果と達成感を得ることが出来ます。私も若い頃から朝6時に起床して夜12時に寝る生活をずっと続けています。起きている間はほとんど心臓のこと、自分の受け持っている患者のことを考える生活です。心臓外科は何事も時間との勝負ですので、せっかちな人が多いように思いますし、私も常に三手先を考えて行動するようにしています。
心臓外科の分野では会議も手術も非常に論理的に進められます。現在は後進の医師の育成も盛んに行っており、若手の医師にも仕事を割り振って研究、臨床、手術を行っています。全国からたくさんの研修医が本学の心臓外科に研修に訪れます。本学以外の大学出身の研修生に関しても本学出身の研修生と同じように受け入れています。全国的に心臓外科医になるなら阪大で研修を受けるべきだと言っていただけることは大変名誉なことだと考えています。今後も、優れた心臓外科医を育成することが出来るよう、努力していきたいと考えています。

Q4.大阪大学医学部を目指す受験生と保護者の方にメッセージをお願い致します。

一般的に医師になれば生活が安定するとか、給料が良いとか言われていますが、そういった安易な考えで医師を目指してほしくはないと思っています。医師は確かに生活が安定しているかもしれませんが、仕事はハードですし、ボランティアの精神がなければ医師として不適格だと考えます。他人のために何か役に立ちたいと考えている人がその志のために医学部に来てほしいです。また、将来人口が減ったら医師は余るかもしれません。安易な考えは捨てて、医師として人を助けたいという思いが医学部を目指す一番の動機でなければならないと思います。そういった意味でも、他の人に勧められて医学部を目指すことはあまりお勧めできません。
医師になってからも、病院という組織の中では医師はトップであり、先頭に立って指示をしなければならない立場であることは間違いありませんが、自分がヒエラルキーの頂点に君臨していると勘違いした医師になってはなりません。医療はチームワークで成り立っています。研究で新しい医療の道を拓く、臨床医として目の前の患者に常に全力を尽くすなど、一生をかけてもいいと思えるほどの大きな思いをもって医学部に入学してほしいと思います。

関連リンク 大阪大学ホームページ

さわよしき
澤 芳樹先生 略歴

所属
大阪大学大学院医学系研究科長・心臓血管外科教授

学歴・職歴
昭和55年3月 大阪大学医学部卒業
昭和55年4月 大阪大学医学部第一外科入局
昭和58年1月 大阪府立母子保健総合医療センター心臓外科
平成元年10月 フンボルト財団奨学生としてドイツMax-Planck研究所心臓生理学部門、心臓外科部門に留学
平成4年 2月 大阪大学医学部第一外科助手
平成10年4月 大阪大学医学部第一外科講師
平成14年8月 大阪大学医学部臓器制御外科(第一外科)助教授
        付属病院未来医療センター副センター長
平成18年1月 大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座
        心臓血管・呼吸器外科(第1外科)主任教授
平成18年4月 大阪大学医学部附属病院未来医療センター センター長
平成19年4月 心臓血管外科主任教授(外科講座再編にともなう)科長
        大阪大学医学部附属病院病院長補佐
平成22年6月 大阪大学臨床医工学融合研究教育センター センター長
     8月 大阪大学医学部附属病院 未来医療開発部 部長
平成24年4月 京都大学iPS細胞研究所 特任教授
        (平成25年4月より同研究所 アドバイザー)
平成25年4月 大阪大学大学院医学系研究科 副研究科長
     5月 大阪大学医学部附属病院 国際医療センター センター長
平成26年4月 京都大学iPS細胞研究所 科学アドバイザー
平成27年3月 一般社団法人日本再生医療学会 理事長
     4月 大阪大学大学院医学系研究科 研究科長・医学部長
        金沢医科大学 客員教授
     5月 順天堂大学 客員教授

学位
医学博士 昭和63年3月取得
"Ultrastructural assessment of the infant myocardium receiving crystalloid cardioplegia." Circulation. 1987 ; 76 : V141-V145

専門分野
外科学、胸部外科学、心臓血管外科学、心筋保護、心臓移植、心筋代謝、人工臓器、遺伝子治療、再生医療、組織工学

免許その他
昭和55年5月 医師免許証(第253340号)
昭和60年   外科認定医
平成10年   胸部外科認定医
平成11年   外科指導医、胸部外科指導医
平成16年   心臓血管外科専門医
平成17年   心臓血管外科専門医認定施設責任者

受賞歴
平成元年 フンボルト財団奨学金
平成9年 日本医師会研究助成費
平成12年 テルモ科学振興財団助成金
平成15年 第2回近畿循環器疾患助成金
平成15年 三井住友生命助成金
平成16年 第3回トヨタ共同研究技術
平成18年 日本バイオマテリアル学会賞
平成21年 文部科学大臣科学技術賞
平成26年 大阪大学総長顕彰
平成27年 日本再生医療学会賞
平成27年 Circulation Journal Awards
平成27年 大阪大学総長顕彰
平成28年 厚生労働大臣賞
平成28年 日本医師会医学賞

所属関連学会
日本外科学会(理事)、日本胸部外科学会(監事)、日本心臓血管外科学会(評議員)、日本循環器学会(理事)、日本心臓病学会、日本脈管学会(理事)、日本人工臓器学会、日本心不全学会(理事)、日本小児外科学会、日本小児循環器学会、日本移植学会(理事)、日本外科連合学会、国際心臓学会、日本臓器保存生物医学会(理事)、日本適応医学会、日本遺伝子治療学会、日本再生医療学会(理事長)、日本バイオマテリアル学会(理事)、日本医工学治療学会(理事(副理事長))、日本冠疾患学会(理事)、 日本心臓血管内視鏡学会(理事)