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福島県立医科大学医学部長 錫谷達夫先生

福島県立医科大学医学部長 錫谷達夫先生
進路の決め方

Q1.福島県立医科大学の特徴についてお聞かせください。

福島県立医科大学の最も大きな特徴は、地域に密着した医療と先端研究が並存していることだと考えています。先端研究や最先端の医療の提供には多くの力を注いでいますが、東日本大震災の後は、地域に密着した医療のニーズがさらに高まっています。福島はもともと医者が多かった地域ではありませんので、震災後はさらに人手が足りず、これからも医師不足は福島県全体の深刻な課題であることには変わりありません。多くの課題を解決するべく、県や医師会と協力しながら日々努力しています。
医療は本来、地域に密着したものでなければならず、医療の本質は地域での臨床医療にあります。その点では、国立大学や私立大学よりも公立大学の方が地方自治体と一体となって丁寧な医療が行えるという大きな強みを持っています。福島県立医科大学も、知事を筆頭とする福島県の保健福祉行政の担当者や医師会と緊密に協力しながら三位一体で活動しています。学生の実習に関しても、大学病院での実習ばかりでは風邪や喘息、アトピーといった身近なよくある疾患を診る機会が限られてしまいます。多様な患者さんへの実習を経験する面でも、地域の病院と協力して行なっている臨床実習は非常に価値の高いものです。また、大学病院では大学病院でしか診察することのできないガンや白血病、臓器移植などの患者さんを相手に実習を行ったり、最先端の研究に触れたりすることができます。地域医療から、高度な先端医療、医学研究まで幅広く、高いレベルで経験することができるという点が、福島県立医科大学で学ぶ最も大きなメリットの一つであると考えています。
震災後、放射線に関する研究も盛んに行われています。震災後の福島県復興計画の大きな柱の一つとして完成した「ふくしま国際医療科学センター」には国内外から優秀な人材を揃えることができました。最先端の研究によって福島の復興を着実に進めることができるよう、人材育成や県民の健康調査などを行うとともに、研究成果を全世界に向けて発信する役割を担っています。放射線や放射線災害に関する研究では、広島大学、長崎大学とも協力体制をとりながらこれからも精力的に取り組んでいく方針です。
学生には、放射能と医療を考える取り組みとして、チェルノブイリに一番近い医学部のあるベラルーシ大学やゴメリ大学へ留学するプログラムが用意されています。ベラルーシはロシア語圏ですから学生は語学の面で苦労がありますが、現地と日本を行き来しているコーディネーターがおりますので安心して留学できると思います。

福島県立医科大学

Q2.福島県立医科大学の教育に関する特徴についてお聞かせください。

分野別専門認証へ対応したカリキュラムはすでに実施して3年が経過しています。今までの講義時間を2/3に圧縮して座学を行ってきましたが、3年間の実施期間を経て改善点や反省点が浮かび上がってきました。今後は見直しを随時行ってさらに良い、学生にとって勉強しやすいカリキュラムへと改善を図っていきたいと考えています。全ての講義を一通り受けた後に、分野を統合した講義などを行うことができれば、学生の理解もより深まるのではないかと期待しているところです。
近年、新しい研修医制度になってから、都会の病院に研修医が多く集まり、満足な研修が受けられないという問題や、医師が研修後に定職に就かず、「フリーター化」してしまうといった問題が深刻化しています。福島県立医大では、医学部卒業後、専門医の資格を取るまでの6年間は福島県内で研修してもらい、専門医の資格を取得した後に各自の希望する都市の病院や大学病院などに就職することを学生に勧めています。福島県に医師が少ないという事情もありますが、多くの技術を身に付けることができる地域医療、高度な医療を学ぶことができる大学病院での研修、先端研究に携わることができる大学と、教育、診療、研究のフィールドがバランスよく揃っており、研修期間に非常に多くの経験を積むことができるため、医師の修行には適した環境であると考えています。また、大学院に進学して医学博士を同時に取得することや学部学生時代から研究を開始することも勧めており、今年は130名の学生中、23名がこのコースに進みました。福島県は首都圏からも近く、若い研修医にとっても良い環境だと考えています。今後は、福島県で研修医時代を過ごすメリットをもっと内外にアピールしていくことができればと考えています。

福島県立医科大学

Q3.先生ご自身のことについてお聞かせください。

私は京都市の生まれですが、2歳の頃に和歌山市に、小学校入学時に札幌に移り、その後旭川医科大学に進学するまで札幌で暮らしておりました。高校は札幌西高校に通っていました。高校生の頃は、当時大学生だった姉が生物を専攻しており、家で鮭の稚魚やアフリカツメガエルなどを飼っていた影響で生物に興味がありました。ずっと生物学科に進みたいと考えており、大学に進学して生物の勉強をすることを目標にしていました。医学部でも生物の勉強ができると考え、旭川医科大学に進学しました。このような経緯で医学部に進学しましたので、始めから研究者志望で、すぐに基礎の道へ進むことを決めました。微生物を研究することに決めたきっかけは生物が好きだったことと、当時の微生物の講義がとても面白かったことでした。
旭川では一人暮らしをしましたが、写真と料理が趣味でした。料理を作ったり、写真を現像したりするのは私にとって理科の実験のようなもので、毎日とても充実した日々でした。
その後、イギリスに留学しました。留学先の研究所は世界的にも有名な研究所で、大学院生ですら最先端の研究を行っており、カルチャー・ショックを受けましたが、半年もいればそういったレベルの研究が当たり前になりました。福島県立医大の学生にも、是非、世界の最先端の研究や医療を1年でも半年でも良いですから経験してほしいと考えています。

Q4.福島県立医科大学を目指す受験生の皆さんにメッセージをお願いいたします。

福島県立医科大学は、優秀な人を出身や学閥にとらわれず能力だけで採用してきた非常にリベラルな校風のある素晴らしい大学です。非常に風通しが良く、優秀な研究者や臨床医が揃っています。また、学生の将来のキャリアアップに関してしっかりとした取り組みをしている大学であり、皆さんにも適切な将来への指針を示すことができると思います。
福島県立医科大学を目指す皆さんには、一人一人がやりたいことをしっかりと自覚してほしいと考えています。入試の結果に関わらず、入学後に医学が楽しいと思った学生ほど伸びていくからです。前向きで、自分から新しいことに積極的に挑戦する学生に是非受験してほしいと思います。

関連リンク 福島県立医科大学ホームページ

すずたにたつお
錫谷 達夫先生 略歴

現職
福島県立医科大学 医学部 医学部長

学歴
昭和58 (1983) 年 3月 旭川医科大学 卒業
昭和58 (1983) 年 4月 旭川医科大学 大学院 医学研究科 入学
           (1年目旭川医科大学小児科学講座にて臨床研修
           2~4年目  旭川医科大学細菌学講座にて基礎研究)
昭和62 (1987) 年 3月 同上 修了、医学博士

職歴
昭和62 (1987) 年 4月 旭川医科大学 細菌学講座 助手
平成 1 (1989) 年 4月 National Institute for Medical Research(英国国立医学研究所),
           Virology unit へ Post-Doc. として長期出張
平成 4 (1992) 年 4月 旭川医科大学 細菌学講座 助手
平成13 (2001) 年10月 Centers for Disease Control and Prevention (CDC)
           Herpesvirus group , Invited Researcher
平成14 (2002) 年 2月 福島県立医科大学 医学部 微生物学講座 教授
平成26 (2014) 年 4月 福島県立医科大学 医学部長
現在に至る

所属学会
日本ウイルス学会、日本感染症学会、ヘルペスウイルス研究会、抗ウイルス療法研究会
American Society for Microbiology (アメリカ微生物学会)