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京都府立医科大学学長 竹中 洋先生

医学部進路の決め方

Q1.京都府立医科大学医学部の特徴についてお聞かせください。

京都府立医科大学は療病院から始まり、その後に大学、医学部が設立された歴史のある、日本では珍しい医学部です。病院が始まりであったため、今でも京都府立医科大学は臨床に非常に熱心に取り組んでいます。設立時にはイギリス、オランダ、ドイツなどから医師を招いて、西洋の最新医学を取り入れました。当時の先輩たちは、近代科学から医学まで幅広い範囲の学問を学習していました。そのような努力を重ねた先輩がいることも京都府立医科大学の大きな特徴です。この二つの特徴を学生、教員、職員が再確認して、医学や医療に取り組んでいきたいと思っています。
カリキュラムを含めた大学改革のため、毎週、学長、副学長を含めた会議を開催しています。会議の内容、資料は必要に応じ教授会にも事前配布をし、教職員で共有しており、幅広い合意形成を伴った改革を行なっていくつもりです。改革には学生の理解も必要です。学長として、七月に一ヶ月を費やし、学生との対話集会を行いました。医学部六学年、看護学部四学年全ての学生たちと学年ごとの対話を行う中で、コンプライアンスについての説明を行うとともに、学生からの意見に耳を傾け、学生が感じている不満の解消に取り組んでいます。カリキュラム改革については、分野別認証の後に、今年11月に受審する機関別認証への対応も行なっていかなければなりません。分野別認証の問題となった点が機関別認証の審査でも問題となることが考えられます。スムーズに認証が得られるよう、努力していくつもりです。また、近年大きく変更が加えられている医師国家試験への対応についても、迅速に行なっていきたいと考えています。

京都府立医科大学

京都府立医科大学の大きな強みは、京都府内に充実した研修を行うことのできる大きな病院を数多く確保していることです。他県では中核病院に指定されるような規模の大きな病院で、多くの学生が研修を受けることができます。今後の改革では、各病院でバラバラになっている研修時の評価基準を一本化して、学生の指導を効率的に行うことのできるようにしていきたいと考えています。
モデル・コア・カリキュラムに対応したカリキュラムを実施していますが、モデル・コア・カリキュラムと本学のカリキュラムについて学生に丁寧に説明することで、学生自身がどこまで学習したのか確認できるようにしたいと考えています。大学が提供しているカリキュラムと、モデル・コア・カリキュラムの内容を学生がよく確認することで、教育内容の不可足について学生にも評価してほしいと考えています。

京都府立医科大学

Q2.先生ご自身のことについてお聞かせください。

私は京都府の出身で、洛星高校に通いました。父は京都府立医科大学で助教授をしていましたし、母方の祖父も京都府立医科大学の耳鼻科で働いていました。私は高校生の頃、医師にはなりたくなくて、文系の学部を志望していました。しかし、現役時は受験に失敗し、浪人の時に母から医学部も受けてみるよう勧められ、大阪医科大学を受験しました。大阪医科大学に入学した時、教養課程が設立されて三年目であったこともあり、素晴らしいリベラルアーツの先生が多くいらっしゃいました。私は熱心に教養の授業を受講したことを覚えています。受験の時は理系の学部に興味がありませんでしたが、医師の仕事には文系的な要素も多く、入ってみると自分は医師に向いていると思い直しました。
その後、父が開業しましたが、ロンドンの学会に出席中に病に倒れ、父の跡を継ぐことを決心して耳鼻科の道に進みました。耳鼻科には進みましたが、免疫などの研究にも興味があり、お世話になっていた教授に背中を押されたこともあって免疫の研究を行いました。当時の京都府立医科大学には耳鼻科で免疫の研究を行っている人はおらず、内科や基礎医学の医師に協力してもらったり、国内の他大学の医師からお話をいただいたりしながら研究を行いました。その後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校に留学し、最新の知見を得た後に帰国しました。研究している花粉症は、寄生虫や感染症などの危険がある途上国では余り問題にならない病気です。衛生状態が良く、感染症をコントロールできる先進国で発生してます。アレルギーに免疫がうまく対応する方法はないのか研究しています。現在は大学の運営なども行っており、多忙な日々ですが、朝五時から六時半の時間を自分の時間として用意して、リフレッシュをしながら研究も行っています。

関連リンク 京都府立医科大学ホームページ

たけなかひろし
竹中 洋先生 略歴

学歴・職歴
S.49.3  大阪医科大学卒業
S.49.6  京都府立医科大学研修医
S.50.4  京都府立医科大学大学院医学博士課程入学
S.54.3  京都府立医科大学大学院医学博士課程所定単位習得後終了
S.55.4  京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室助手
S.56.7  愛生会山科病院耳鼻咽喉科部長
S.58.2  京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室助手
S.58.4  国立福井医科大学耳鼻咽喉科教師(附属病院)
S.60.12 京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室講師
H.1.4  京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室助教授
H.4.7  米国UCLA内科免疫学教室へ留学
H.5.3  京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室助教授(復職)
H.8.4  大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室教授
H.21.5  大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室教授退職
H.21.6  大阪医科大学学長(H.25.5.31迄)
H.25.6  大阪医科大学学長(H.27.5.31迄)
H.27.6  大阪医科大学名誉教授
H.27.6  国立研究開発法人日本医療研究開発機構 免疫アレルギー疾患等実用化研究事業 プログラムオフィサー
H.27.9  一般社団法人医学・医療システム研究所 代表理事
H.29.4  一般社団法人医学・医療システム研究所 理事
H.28.4  公益財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター 客員上席研究員
H.28.12 一般社団法人免疫療法臨床研究会 代表理事(日本アレルギー学会関係)
H.29.4  一般社団法人免疫療法臨床研究会 理事

大学活動
大阪医科大学付属病院薬剤部長      H.10.4.1~H.14.10.30
大阪医科大学治験センター長       H.12.4.1~H.16.3.31
大阪医科大学付属病院副院長       H.12.4.1~H.16.3.31
大阪医科大学物流センター長       H.14.11.1~H.19.3.31
大阪医科大学付属病院病院長       H.16.4.1~H.20.3.31
大阪医科大学学長            H.21.6.1~H.27.5.31
京都府立医科大学学長          H.29.4.1~現在に至る

学会活動(主たるもの)
日本耳鼻咽喉科学会評議員・代議員    H.5.5~現在に至る
日本アレルギー学会代議員        H.17.4~現在に至る
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会理事長 H.19.3~H.25.5.31
同上 顧問               H.11.4~H.17.3
日本鼻科学会理事長           H.17.4~現在に至る
同上 顧問               H.19.9~H.23.12
日本耳鼻咽喉科学会理事         H.23.12~現在に至る

学術団体等の活動
日本学術振興会特別研究等審査会専門委員      H.13.8~H.15.7
日本学術振興会科学研究費委員会専門委員      H.13.8~H.21.11
厚生労働省医療技術参与              H.15.1~H.25.1.25
大阪府立医療対策委員会委員            H.21.5~H.27.5
厚生労働省保健医療専門審査委員          H.23.11~現在に至る
厚生労働省先進医療会議技術委員          H.24.10~現在に至る
国立保健医療科学院厚生労働科学研究補助金(難治性疾患等克服事業)
 事前・中間・事後評価委員会委員         H.24.1~現在に至る
外保連運営委員・監事               H.24.3~現在に至る
全国医学部長病院長会議
 大学病院の医療に関する委員会委員長       H.24.5~H.28.6(以降オブザーバー)
国立大学法人新潟大学研究推進機構超域学術院研究プロジェクト審査委員会委員 H.24.8~H.26.3
日本私立大学連盟医・歯・薬教育研究推進会議幹事会委員長 H.25.4~H.27.3
厚生労働省疾患申出療養評価会議技術専門委員    H.28.2~現在に至る

専門領域
・上気道のアレルギー性炎症の病態と制御並びにスギ花粉症の疫学研究
・顔面外傷の治療