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名古屋市立大学・大学院医学研究科 教授 道川 誠先生

進路の決め方

Q1.名古屋市立大学医学部の特徴についてお聞かせください。

名古屋市立大学医学部は昭和18年に設立された名古屋女子高等医学専門学校を起源としています。その後二度の変遷を経て、昭和25年に名古屋市立大学医学部となりました。大学の伝統と校風を尊重しつつ、日本や世界の研究をリードできる大学となることを目標にしています。近年は推薦入試の改善や、地方枠入試の導入などを行い、多様な人材の採用に向けてあらゆる改革を行なっているところです。一般に推薦入試や地方枠入試などを行うと、医学を学ぼうというモチベーションの高い学生が入学してくれる一方で、学力的不足などの理由から授業についてこられないという問題が発生しがちですが、本学ではむしろ、推薦や地域枠制度を使って入学した学生の方が良い成績を入学後も維持している傾向にあり、入試制度改革の取り組みが非常に成功していると言えるのではないかと思います。推薦や地域枠制度で入学してくる学生は、本学医学部において非常に重要な役割を果たしています。更に、一般入試や授業においてTOEICなど外部の英語テストの点数を評価基準として用いるなど、入試制度や評価制度に関しては柔軟性を持って改革を行なっています。
名古屋市立大学には医学部の他にも、薬学部や看護学部が設置されており、三つの学部が揃った唯一の公立大学です。医学部、薬学部、看護学部は互いに連携を取りながら、教育や研究を行っています。また、名古屋市緑区に設けられたCHCセンターでは、他大学と協力しての学生の教育活動が行われています。名古屋市立大学の他に、愛知学院大学や名古屋工業大学と連携して学生の他職種教育を推進しています。
また、名古屋市立大学では総合生命理学部という新しい学部を創設しました。以前は大学院のみが設置されていましたが、学部も設置することによって学生をより丁寧に教育することができ、理学系の分野における本学の研究が更に進むことが期待されています。今後は、医学部、薬学部、看護学部などと共同研究体制をより強固にしていくことができればと期待しているところです。
現在、医学部の定員が全国で増加していることもあり、出生数が100万人を割り込んでいるにもかかわらず年間9000人ほどの新しい医師が輩出されています。将来的には100人に1人医師がいることになるにもかかわらず、医師の偏在、過疎地医療、僻地医療などの問題から未だに医師不足が叫ばれています。また、都市では医師が多く、フリーランスで定職につかない医師も目立つようになりました。医師のレベル低下が懸念されますし、今後は都市でも高齢化が更に進むことから、他職種連携の包括的なケアが求められます。学生には、自発的に将来のキャリアについて考えることを呼びかけています。医師という資格は、患者を救ったり、研究を行ったりするだけでなく、宇宙飛行士や公務員、製薬会社の研究員など幅広い仕事にその資格を応用することが可能です。今後の少子高齢化や医師の過剰供給などを踏まえて、適切なキャリアプランを提案していきたいと考えています。本学では学年制を採用しており、4、5人の学生に1人の教員が担当としてアドバイスを送ったり、相談に乗ったりするなど、丁寧なフォローが行える体制が整っています。

名古屋市立大学

Q2.先生ご自身のことについてお聞かせください。

私は茨城県の出身です。高校は水戸第一高校でした。旧制高校の伝統がある学校で、自由を重んじ、文武両道な校風でした。私も高校時代はラグビー部に所属していましたので、高校時代は部活動に明け暮れ、勉強に本腰を入れたのは高校三年生になってからでした。高校時代から数学や物理が得意でしたが、人々を相手にコミュニケーションをとりながら働くことのできる仕事がしたいと考え、数学や物理を活かした仕事に就くか悩んだ挙句、医師になることを決意しました。浪人生活を経て、東京医科歯科大学医学部に入学しました。
大学時代は、現在の専門である神経内科は私の苦手分野でした。しかし、進路を決める際に、自分の一番苦手な分野で自分がどこまでやれるのか勝負してみたいという思いから神経内科を専門とすることに決めました。神経内科教室では、得難い教授に出会い、私はそこで患者と向き合う姿勢や、医師として必要な様々な基本的なことを教わることができました。あの時の経験は基礎研究を行う上でも活かされていると思います。
私が医師になった頃は、まだアルツハイマー病という病気自体があまり認識されておらず、神経内科の学会でも演題になることはありませんでした。当時は診断もままならない状態で、脳動脈硬化症などと診断されたこともあったほどでした。その後、高齢化社会が深刻化するにつれて、アルツハイマー病に関する世間の注目が高まるようになりました。私は1990年にカナダのブリティッシュ・コロンビア大学へ留学しました。留学先では研究に集中できる環境が整っており、培養神経細胞を使った研究に2年間取り組みました。それまで日本で経験していた臨床は、当然ながらすべてが患者の病状回復・治療に向けて進められるものであり、治療計画や回復状況などは常に変化するもので一瞬の油断も許されません。これに対して、基礎研究は自分でデザインした計画をその通りに実行することができますし、臨床とは異なり、失敗したら何度でもやり直すことができます。新しいものの発見につながり、その喜びを味わえる2年間に亘る基礎研究生活は、非常に興味深いものでした。そのためもあって日本に帰国後は1996年に設立された国立長寿医療センターに赴任し、室長・部長として研究を行いました。アメリカに比べてアルツハイマー病の研究者が日本に少なかったこともあり、苦労もありましたが、研究所の環境は良く、研究に集中することができました。
その後名古屋市立大学に移り、最近は歯とアルツハイマー病との関連についての研究を行なっています。歯周病とアルツハイマー病との関連、歯牙欠損や咀嚼機能低下とアルツハイマー病との関連を調べる研究を愛知学院大学や東京医科歯科大学、広島大学などと共に行なった結果マウスにおいてその関連性を明らかにすることができ、現在は臨床介入試験を行っているところです。また、私の研究室には海外からの留学生も複数所属しています。会議など教室におけるコミュニケーションは英語としております。医学部全体としても国際化は大いに進めていきたいと思っております。

名古屋市立大学

Q3.名古屋市立大学医学部を目指す受験生の皆さんにメッセージをお願いいたします。

医療は一瞬、一瞬がやり直しのできない仕事です。また患者の意思を尊重することも何よりも重要なことであり、常に患者に寄り添って医療を行うことが必要です。加えて大学においては、研究面でも世界をリードする気概と熱意が求められます。大学に入学してから十分に学ぶ機会は用意されていますので、まずは正義感と責任感があり、プロフェッショナルになろうという意気込みのある人にぜひ入学してほしいと考えています。

関連リンク 名古屋市立大学ホームページ

みちかわまこと
道川 誠先生 略歴

現職
名古屋市立大学・大学院医学研究科 教授

学歴・経歴
1985年 3月  東京医科歯科大学医学部卒業
1985年 5月  東京医科歯科大学医学部神経内科研修医
1986年 1月  武蔵野赤十字病院内科(神経内科)医員
1987年 4月  関東中央病院内科(神経内科)医員
1988年 5月  都立駒込病院内科(神経内科)医員
1990年 5月  東京医科歯科大学医学部神経内科・助手
1990年 12月  カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学留学
1994年 9月  東京医科歯科大学医学部神経内科助手
1996年 3月  国立長寿医療センター・アルツハイマー病研究部・室長
2005年 10月  国立長寿医療研究センター・アルツハイマー病研究部・部長
2012年 4月より現職

学術関連受賞
2003年 アメリカ合衆国National Niemann-Pick Disease 財団・研究基金受賞
2000年 財団法人 長寿科学振興財団・会長賞受賞
2000年 長寿医療研究センター研究者賞・金賞受賞
1996年 サンド老化および老年医学研究基金受賞

所属学会
日本神経化学会、日本認知症学会
日本生化学会、米国神経科学会

脳内脂質(コレステロール)代謝変動とアルツハイマー病との関連の研究を行っています。特に、危険因子ApoE4の発症機構の解明とその機能制御に関する研究からアルツハイマー病の予防・治療法の開発を目指しています。5年前から、歯周病や歯牙欠損、ソフトダイエットとアルツハイマー病・認知機能に関する研究を行っております。